人材の多様性を活かし、誰もが力を発揮できる組織を実現する。そのためには、広報パーソンが、D&Iの議論に向き合い、理解を深めていくことが第一歩となります。
前回お話しした「障害者を包摂するための広報」を実際に皆さんの日々の活動でどう実践すればよいかを、具体的に考えてみたいと思います。改めてその内容とは「当事者」である障害のある社員の方々が主体的に参加・関与しながら、次の3点を自社全体で理解・共有し実践することです。つまり ❶障害を持つことは自社の全てのメンバーのテーマであること ❷障害者雇用は本業を通じて実現するCSR及び経営課題であること ❸障害とは何か、障害があっても働けるとは等について、他人事ではなく「我が社」の考え方や理念は何かを確立することです。
障害の視点を社内に広げる
これらを実現するキーワードは「障害の視点を社内に広げる」ことです。そのための方法は2つ挙げられます。第1に、❶~❸の全ての基礎となる「障害や障害者雇用について知ること」です。これまでの連載の全ての内容を、トップを含めた社員全員が知り、知識を高めることが不可欠です。さらに各障害の特性の詳しい理解、職業上の強みと課題、必要な合理的配慮や職務内容の創出・工夫など、人事部などの担当部署や障害のある社員が働く部署がすでに持つ知識やノウハウを、社内全体に広げて共有することが重要です。
このことが第4回でお話しした「知っているかどうかの壁」を打破し、障害者雇用を...