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地域活性のプロが指南

地域活動をする人を増やす 出会いと学びの場づくり

藤川明美(尼崎市)

尼崎市が好きな人「あまらぶな人」を増やす。その実践の中で見えてきたのは、市民と協働してまちの価値を高めていくことの重要性でした。


私はこの4月に広報課を離れ、尼崎市の6つの行政区のうちの1つである園田地区の園田地域課で協働のまちづくりを担当しています。これまでは広報担当者の目線でシティプロモーションの概念を理解し、庁内での旗振り役として取り組んできました。

今、地域課という地域の現場の職員として改めて実感したことがあります。それは、シティプロモーションの推進において、まちの主役である市民が「このまちに暮らして良かった」と思える地域づくりが重要であること。そして、シティプロモーション以外の部署でも日々の業務は、まさにシティプロモーションの実践である、ということです。

気軽に参画できるきっかけを

地域には、「地域のために」と主体的に活動している方が、たくさんいます。その活動の一つひとつが地域を支え、より良い地域をつくっている。そのことを地域課に異動して、実感しています。

しかしながら、最初からまちのことを考えている人は少ないのではないでしょうか。まずは身近な地域で自分がやりたいことができたり、誰かのやりたいことを応援したり、仲間と一緒に取り組めたり、そういう経験を重ねながら活動するうちに、地域や社会と繋がり、「このまちに暮らして良かった、自分の暮らすまちを良くしたい」という想いが生まれてくると思います。

そして、私たち行政としては、そういう想いを持った人が、やりたいことを相談でき、次の活動に繋がるような学びの場をつくること、気軽に地域に参画できるきっかけを用意することが重要だと思います。

経験や体験を通じた学び

尼崎市では2016年に「自治のまちづくり条例」を制定し、地域での様々な学びや活動を支えるため、地域振興にも積極的に取り組んでいます。ここで言う「学び」は、学校教育での学びではなく、経験や体験を通じた学びです。やりたいことを実現するには「学び」が必要であり、困ったことがあった時に不満を言うのではなく、どうすればできるかを考えたり、他の地域の好事例を調べたり、そのような学びの中から自発的に行動に繋げることができる人たちがまちには溢れてほしいと考えています。

まち全体の学びの取り組みとしては、夏の2日間、本物の学校を貸切り大人も子どもも関係なく、“センセイや生徒”になれる「みんなのサマーセミナー」を開催。ほかにも、日常から学びを通してまちに関心を持ってもらえるよう「みんなの尼崎大学」のプロジェクトもスタートさせています。

「みんなの尼崎大学」は本物の大学ではありません。民間の施設を含め、市内各地にある学びの場を訪問する「オープンキャンパス」や、まちでのお悩みごとや課題解決策を話し合う「みんなの相談室」などを行っており、各地域の地域課でも...

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