広報体制を強化するには、社内の理解を得ていくことから始めたい。企業成長に必要なステークホルダーからの信頼の獲得、優秀な人材の採用、社内のモチベーション向上。こうした企業価値に直結するBtoB広報のメリットを今一度整理しておこう。
Q1 広報活動の重要性が社内に理解されません。どうしたら良いでしょうか
市場の信頼を得るのに欠かせないことを伝えましょう
BtoB企業は取引の相手が限られるため、「わざわざメディア向けに広報せずとも、これまで通り取引先だけにアピールすれば良い」と考える方も社内にいると思います。ただ経済環境は変化しており、今後も成長したいのであれば、従来のやり方では見込み取引先や投資家の信頼を獲得するのが難しくなる可能性があります。社内から広報活動への協力を得るには、自社が今どのような状況にあるのかも合わせて伝えていく必要があるでしょう。
社会的な背景を振り返っておくと、2015年、企業が透明性を保ち企業統治を適切に行うかを評価するガイドライン「コーポレートガバナンスコード」が策定され、全上場企業が適用対象となりました。2021年には「人的資本に関する情報開示」など複数の項目が盛り込まれて再改訂されるなど、投資家を意識した発信強化の流れが日本でも年々高まっています。こうした状況において、特に上場企業は適切な企業情報を積極的に開示することが、投資家や取引先の信頼獲得につながり、成長曲線に乗れるかにも影響するのです。
品質だけでは売れない時代
また、市場の成熟による製品需要の減少は、上場、非上場にかかわらず、全ての企業に関わってくる問題です。日本人の美徳として「言わぬが花」という考え方がありますが、ことビジネスにおいては「どんなに素晴らしい製品でもしっかりアピールしないと知られずに消えるリスクが高まる」ことを理解する必要があります。
この傾向は、グローバル化によって市場に「アピール上手な企業」が参入したことで、さらに加速しました。「良いモノ」を提供するのは前提であり、その「良いモノ」を市場に知らしめないと売れなくなっているのです。これらの情勢変化を社内にしっかり周知した上で、企業が存続していく術として広報の重要性を説くと良いのではないでしょうか。
Q2 広報活動を行うメリットは、ほかにもありますか
優秀な人材の獲得や社内のモチベーション向上など
自社を広く知らしめることのほか、具体的なメリットとしては「採用力の強化」が挙げられます。広報の活動によってメディアに取り上げられると、「○○新聞に載っていた会社だ」と会社の知名度や信頼度が上昇しますよね。これはいわば「第三者からお墨付きを得た状態」になるわけです。
この「第三者からの評価」は、自己アピールとは比べものにならない説得力を持ちます。「社会的信頼度の高い企業で働きたい」と考える方は多くいるため、広報活動によって会社の信頼度を高めることが...