テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、実際に人気番組の制作者にインタビューしメディア対応の極意を聞き出します。
『Live News α』 |
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フジテレビ系列で2019年4月に放送を開始した報道番組。毎週月曜~木曜の23時40分から24時25分と金曜24時10分から24時55分。

(左から)曜日替わりでメーンキャスターを務める内田嶺衣奈アナ、今湊敬樹アナ、三田友梨佳アナ、上中勇樹アナ、海老原優香アナ。

フジテレビジョン
ニュース総局報道局報道センター『Live News α』プロデューサー
近藤篤正氏
2002年入社。警視庁などで5年間の記者生活を経て『スーパーニュース』など夕方ニュースで特集ディレクターやプログラムディレクター。2017年より夜のαブランドのニュースを立ち上げ、演出・プロデュースに関わる。
「いま、使える情報を+α」。それが『Live News α』のコンセプトだ。
「働く人の役に立つ、ステップアップ、スキルアップにつながる、寝る前に『+α』になるという意味を込めました」。こう語るのは番組の立ち上げ当初から現場をまとめてきた、近藤篤正プロデューサーだ。
「飽和状態のニュース番組のなかで、私たちは放送開始時間も一番遅いし、歴史も浅い。どのような番組であれば、受け入れられるのか。テレビの世界はいわゆる『職人気質』な人が多いので、感覚的につくることが多いのが実情です。私たちはそうではなく、大手の広告会社と組んで市場調査をしたうえで、番組をスタートさせました」。
ビジネスパーソンに寄り添ったネタ選び
市場調査を行うと、「目指すべき方向性」が明確に見えてきたという。
「他局のニュース番組も調査・分析しました。ポジショニングマップのなかで唯一空いているゾーンがありました。それが『若い層に向けて専門的な情報を扱う』というものでした。そうして『ビジネスに関する情報』という結論に辿り着いたのです」。
若いビジネスパーソンに向けた番組づくり。「番組での言葉遣い」も、それに相応しいものとなっている。たとえば、新進気鋭の、立ち上げから間もない企業の経営者を番組内で紹介するとき。一般的なニュース番組であれば、その人物を紹介するテロップとしては、「ベンチャー企業経営者」と出す。しかし、『Live News α』では、革新性が高く急成長している企業を「スタートアップ企業」と伝える。「スタートアップ」は必ずしも一般的な単語ではないが、若いビジネスパーソンにとっては...