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実践!プレスリリース道場

商品と人材の同時訴求でメディア出演依頼が殺到したリリース

井上岳久(井上戦略PRコンサルティング事務所・代表)

新聞や雑誌などのメディアに頻出する企業や商品リリースについて、PRコンサルタントの井上岳久が配信元企業に直接取材。背景にある広報戦略やリリースづくりの実践ノウハウを、じっくり分析・解説します。

今回は複数のテーマが入ったリリースを紹介します。一挙両得、いや三得を狙ったプロのリリースです。

餃子や大福、サラダ、スキンケア、指輪など、通常は自販機で販売しないようなものを扱う「変わりダネ自販機」がブームになっています。テレビ番組で取り上げられる機会も多いので、ご存じの方もいるのではないでしょうか。

レトルトカレーの販売で自販機に対する知識と経験があった私は、この流れに早い段階で気づき、日本各地に設置されている自販機の事情を調べ始めました。リサーチするほどに大きな可能性を感じ、ビジネス化することを思いつきました。といっても私自身が自販機を設置するのではなく、自販機で商売をしたい人に、運用とPRの方法をレクチャーするビジネスです。

自販機は、レンタルで初期投資も少なく、誰にでも始められる事業形態です。非接触で購入できることも時流に合っています。消費者の誰にとっても身近な存在で画にもなるためか、テレビの反応がいいこともわかりました。

私は商品開発の時点からPRの視点を取り入れる「マーケティングPR」という手法を提案しており、最近はマーケティングの世界でも浸透し始めています。この手法における鍵は、「いかにPRしやすい商品を仕込むか」です。その点が自販機と非常に相性がいいと直感し、興味を覚えました。

そこで今回は、私が経営するカレー総合研究所(カレー総研)で開催したPR事業化セミナーのリリースを取り上げたいと思います。私がプロデュースもしくは携わってきた自販機などを例に、その事業化とPR方法をレクチャーしたセミナーです。

専門家の存在をアピール

早速そのリリースを見ていただきましょう。変わりダネ自販機は近年、急激に盛り上がってきた市場だけに、専門家が存在しません。けれど、メディアが何かを取り上げる際は解説できる専門家を必要とします。特にこうした新規ジャンルには専門家がいた方がいいのです。そこで今回は、私自身を研究家兼プロデューサーとすることで、需要に応えているのがポイントです。

リリースをつくるにあたり気にかけたのは、カレー総研のリリースでありながらカレー案件ではないことです。

(ポイント1)普段送っているものとは異なる内容なので、レターヘッドは踏襲しつつも字体やレイアウトを変え、ひと目でジャンルが違うことを認知させています。参考として載せた通常リリースと見比べてみてください。

(ポイント2)そして、このリリースの本題であるセミナーのPRと、専門家の売り込みを、タイトルと本文でバランスよく訴求しています。このセミナーは、本気で事業に活用したい経営者もしくは企画責任者が対象なので、PR会社などはお断りしています。それよりも、自販機の専門家がいることを広く知らしめ、メディア露出に誘導することが、このリリースの重要な役割だといってもいいでしょう。

「変わりダネ自販機の事業化&PRセミナー」のリリース

(ポイント3)2枚目には十分なスペースを取って専門家の存在をPRしました。カレー業界で十分な実績を上げてきた信頼のおける人物であること、近年は自販機事情を研究し、変わりダネ自販機のプロデュースチームを立ち上げ、いくつも成功に導いていることはきちんと伝えなければなりません。


そして3枚目には、これまで私が関わってきた話題の自販機の実例を3つ掲載しています。参考までに...

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