社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。

周年事業にまつわる情報が集約された70周年記念の特設サイト。NEWSページには随時最新情報がアップされた。
湯まわり設備メーカーのノーリツは、2021年3月に創業70周年を迎えた。周年事業のコピーは「みんなで、次へ」。インナー向けに特化した施策も特徴的だ。当時、人事総務部に所属していた長瀬淳氏(現在は技術管理部)はその背景を説明する。
「従業員満足度調査(ES調査)で将来への不安を感じる社員が多いことが判明し、2019年からインナーブランディング施策を検討していました。そこで70周年をトリガーに何かできないかと考え、ボトムアップの活動として動き出したのです」。
人事、労働組合、ブランドマネジメントから集まった4人でコンセプトを固め、経営施策としても打ち出せるよう経営企画と広報も加わり、企画管理本部長を実行委員長とするチームを発足させた。
参加しやすい仕掛けを意識
企画を考える上で意識したのは、社員全員が“簡単”に参加できること。「誰でもすぐ情報にアクセスできて、気軽に参加できるよう、使用デバイスを選ばないSharePointで特設サイトを制作・周知していきました」と話すのは、労働組合中央副執行委員長の松原海氏。
社内向けに公開された特設サイトでは、ユーザーインタビュー「Fun Fan Interview」や、倉庫から古いカタログを発掘しゼロから制作した年表など多くのコンテンツを発信。創業者のエピソードを届けるメールマガジンも35回にわたって配信した。
中でも反響が大きかったのは、働く中で感じる疑問や知りたいことを募集し、解決する「ノーリツのギモン。なんでも探偵団」と、働き続けたいと思える工場に変えるための改善アイデアを募集した「みらい工場プロジェクト」だ。
「なんでも探偵団では、寄せられた約60件の疑問に答えるため、現場社員やノーリツをつくってきた先輩方に協力を得ました。おかげですべての疑問に回答できましたし、色々な人とつながることができました。いい人材が揃っている企業なのだと実感しました」(松原氏)。
一方の「みらい工場プロジェクト」についてはのべ776件のアイデアが...