「更別村スーパービレッジ構想」に、メディアから注目が集まっている。一方、先進的な取り組みを進めるにあたって、課題となるのは、住民に対する理解促進だ。高齢化が進む村民に寄り添い、不安や疑問をどのようにフォローしていくのか聞いた。
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プロジェクトの広報体制 | 村の情報発信ツールとして月1回発行する広報誌のほか、村民の会合へ出向く出前講座や村のホームページ、SNS防災行政無線を活用して情報の発信を行っている。 |

更別村が2021年10月15日に内閣府に提出した「スーパーシティ型国家戦略特別区域」の指定に関する提案書の表紙。同区域には選出されなかったが、ここで掲げた「更別村『スーパービレッジ構想』」を土台に、「100歳になってもワクワク働けてしまう奇跡の農村」の実現へ向けた取り組みを推進してきた。
北海道の南十勝に位置する更別村。総面積の約7割が畑作地で人口の約40%が農業に従事する同村では、先端技術を活用し「QOL日本一の村」を目指す「更別村スーパービレッジ構想」を掲げている。
なぜ、こうした構想に至ったのか。「2016年の連続台風被害では、ぬかるんだ農地に大型トラクターが入れず適切な時期に農作業ができないことへの対応がきっかけでした。村ではまず、ドローンをはじめ先端技術を活用した『スマート農業の仕組み』の整備に着手しました」と更別村役場 総務課広報係長 川上絵理氏は語る。
同時に、ドローンの飛行に関する法的な制約に対応するため、同役場の企画政策課が先導し、2017年「国家戦略特別区域」への認定を申請。「先端技術を活用して未来の生活を先行実現する」同区域に指定されると、ドローンの規制が一部緩和され活用範囲が広がるためだ。
2021年同区域の「スーパーシティ型国家戦略特別区域」へ申請をし、これを機に、先端技術で村の課題を解決する施策を推進(上図参照)。人と人とのつながりが希薄になっている現代社会において、デジタル技術を活用する「更別村スーパービレッジ構想」を標ぼうし、2022年6月には「課題の多い地方から早急なデジタル化を進める」と内閣府が掲げる「デジタル田園都市国家構想推進交付金事業・タイプ3(リーダー的事業)」に採択された。
村民に寄り添う広聴視点
このような施策を実行し注目を集めたことにより、メディアが「北海道で初めて5Gを導入した地域」などと、同村を紹介。先端技術の活用に取り組む村としての認知を高めている。
ただこの状況に対し、村民から聞こえてくるのは...