今年、築城400年を迎えた福山市の福山城。この記念の年に『バットマン』シリーズに登場する架空都市「ゴッサム・シティ」と福山市が友好都市提携を結び、話題となった。コラボを持ちかけたのは福山市。まちの認知拡大につなげている。
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市の広報体制 | 情報発信課15名で広報紙作成、都市ブランドの発信、各部署の広報コーディネートを行う。本コラボプロジェクトは、情報発信課と文化振興課が中心となって実施 |

(上)福山市章。バットマンマークと似ているとかねてから話題に。(下)福山城。築城400年を迎える今年は節目の年。
広島県の東部に位置する福山市。風光明媚で歴史的な建造物も多く、映画やドラマの舞台にもなってきたこの市には、今年築城400年を迎えた福山城がある。
周年を機に、市や城の認知度、ブランド力を高めるために、いかに情報発信を強化していくか。福山城の記念事業などを担う文化振興課と、広報活動を担う情報発信課が中心となって企画が進められていった。
福山市が外部アドバイザーとして契約している、行政コンサルティング事業等を行うCAPを交えて、効果的なPR方法を模索していた最中に、他地域にはない強み、として注目したのは「福山市の市章」にまつわる、ある評判だった。
市章がバットマンに見える!?
「福山城がある地域は、蝙蝠(コウモリ)山と呼ばれていて、市章はコウモリと山がモチーフになっています。この市章がバットマンのマークに似ている、という話は、かねてから話題になっていました」。
こう話すのは、福山市の文化振興課 築城400年事業推進担当課長の渡邉真悟氏だ。
「映画『THE BATMAN -ザ・バットマン-』が2022年の3月に公開されるという情報も入ってきて、配給元であるワーナー ブラザースさんへ、連携できないか打診してみようということになりました」と振り返る。
このフットワークの軽さが、後に、世界的なファンを持つ人気コンテンツ『バットマン』とのコラボを生むことになる。
「2021年11月、我々のこれまでの取り組みや市章の評判などを、ワーナー ブラザース ジャパンさんへお話ししました。関心を持ってくださり、コラボレーションの在り方を探っていくことになったんです。でも、まさか映画シリーズ初の友好都市提携という形に発展するとは思っておらず、想像していた以上のユニークな連携が実現できました」。
当初、福山市側の要望は、バットマンに福山城築城400周年の応援サポーターになってもらうことだったという。コラボにあたって、関係各所からの承認を取り付ける必要もあり、プレゼン内容を福山市とワーナー ブラザース ジャパンの間で議論する中、「ゴッサム・シティと友好都市提携を結んだら面白いのでは?」というアイデアが生まれた。
友好都市提携を広報するために実施される「調印式」というイベントは、自治体ならではの発表形式でもある。調印式を皮切りにコラボについての発表を行うことが決まり、一気に広報企画が動き出した。
調印式でコラボ発表
「友好都市提携の調印式では、両都市の市長が締結する書面や、記念品を贈り合うのが通例です。そこで過去の式典をベースに、協定書の作成と、そこで解禁するコラボビジュアルの準備を進めていきました」。
協定書の内容には「福山市の市章とバットマンのマークに共通するコウモリがつないだ友好関係をさらに推進する」と記し、今回の...