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元ディレクターが教える テレビ番組制作者の本音

SNS発信からマスメディアへ 企業広報が押さえたい露出拡大の流れ

下矢一良(PR戦略コンサルタント・合同会社ストーリーマネジメント代表)

SNSが台頭する時代。マスメディアはSNS上のネタや人・企業をどう見るのか。とあるTwitterで話題となった人物を例に、その拡散の経緯を分析する。

SNSで火がついた話題はテレビや新聞で取り上げられることはあるのだろうか。実際にあるとすれば、情報はどのような経路を辿るのか。実例をもとに考えてみたい。

話題のあの人物を紐解く

「レンタルなんもしない人」という人物をご存じだろうか。ゲームの人数合わせ、花見の場所取りなど「ただ居るだけで、なんもしない」依頼を、Twitterで募集している。2018年にTwitter上でサービスを開始。それから瞬く間に話題となった。

「レンタルなんもしない人」はプレスリリースを書くこともなければ、メディアリレーションを築いているわけでもなさそうである。Twitterでの情報発信以外に、余計な「力学」が発生する余地はない。加えて自分が受けた取材を、Twitter上で漏れなく報告している。SNSから既存メディアへの情報の伝播を追いかけるには、「レンタルなんもしない人」は、まさに“うってつけ”の存在と言える。

SNSからどう波及したのか

「レンタルなんもしない人」がメディアに最初に取り上げられたのは、2018年11月28日のネットメディア「ハフポスト」だ。記事のタイトルは「『何もしない私を貸し出します』Twitterで呼びかける『謎』の男性に会ってみた」。タイトル通り、ネットで話題の人物に実際に会って取材するという内容だ。

次に取り上げたのは、意外にもテレビ。2019年1月に日本テレビの『スッキリ』が、同様の特集を放送。ネットメディアと情報番組に取り上げられた「レンタルなんもしない人」ではあるが、ここで一旦、小康状態となる。

再び「火がつく」のは、『スッキリ』の放送から、3カ月ほど経った4月。この月、初の著書となる『レンタルなんもしない人のなんもしなかった話』が刊行となる。この本の刊行と前後して、『週刊モーニング』『FRIDAYデジタル』で紹介される。さらに名古屋のテレビ局CBCのバラエティ番組『本能Z』、そしてNHKの『ドキュメント72時間』でも取り上げられた。

ここから「レンタルなんもしない人」の快進撃は勢いを増す。翌月には、...

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