少子化やコロナ禍の影響を背景にした志願者減少など、大学を取り巻く環境が変化しています。数多ある大学の中から「選ばれる大学」になるために、今、どのような取り組みがなされているのでしょうか。本稿では別府大学、大阪経済大学、ものつくり大学、日本大学 三軒茶屋キャンパスに、ブランディングの取り組みを聞きました。
「温泉」という独自性を活かし話題化 地域・メディアからの信頼獲得にも注力
全国有数の温泉都市に位置する別府大学。広報室を中心に「温泉」をテーマにして広報戦略を打ち立て、発信を強化している。「キャンパスに源泉が4つある全国でも珍しい“有泉大学”。学内を見渡せば温泉をテーマにした研究・教育活動が様々に行われていました。教養科目にも『温泉学概論』があるほどです。しかも10年前から公開授業としているにもかかわらず、公開していることを広報できていませんでした」。
2019年秋から「別府“温泉”大学」として、学内で行われている温泉をテーマにした教育・研究について発信をスタート。これが起爆剤となり、露出が増加。本取り組みについて学長や広報担当者への講演や寄稿の依頼が相次いだ。また県外メディアからの問い合わせが増え、全国版のテレビ番組に温泉の話題を提供。全国紙の大学紹介コーナーにも掲載された。地域の宝である温泉をテーマにし、学生と地域がクロスする新しい学びの場を創出していくことを目指している。
他にも、保護者や県内企業、地域社会からの信頼獲得に向け、地元メディアへのプレスリリースなど情報発信を強化。記者との関係構築にも力を入れている。また、企業や保護者層に訴求力のあるFacebookについても投稿を強化中。卒業生のフォロワーも多く、学外のファンづくりとして活用を進めている。
DATA | |
---|---|
創立年 | 1908年(前身校) |
本拠地 | 大分県別府市 |
学生数 | 2764人(2022年5月1日現在) |
広報人数 | 3人 |
教職員一丸でビジョンを自分ごと化 学外へも公開し本気度を伝える
2032年、創立100周年を迎える大阪経済大学。2019年4月に100周年ビジョン・ミッション「DAIKEI 2032」を策定し、発信を強化している。策定にあたっては、教職員12人の若手ワーキンググループが参画。「生き続ける学びが創発する場となり、商都大阪から、社会に貢献する“人財”を輩出する」という全体像を示すミッションと、それをより具体的にした4つのビジョンを定めた。
2020年度からは「DAIKEI 2032」を教職員が理解し...