2021年、20周年を迎え「こえる人、こえる大学」を新たなコンセプトに据えた高崎商科大学。企業連携の導入やロゴのリニューアル、コンセプトムービーの作成など、挑戦を続ける同学の取り組みとは。

インタビュー/鈴木洋文 事務局次長 広報・入試室SV アドミッション・クリエイター
大学独自の価値
──ブランディング強化に取り組まれた背景を教えてください。
大学に着任した、20年ほど前、ある教員から「本学で働いていることが恥ずかしい」という言葉を聞き、ショックを受けました。地域の方からの認知度も低く、オープンキャンパスの来場者は数人。これではいけないと思いましたね。
それから数年が経ち、本学の卒業生がワークマンの社長に就任したことを知りました。そのことをウェブサイトに掲載し、駅看板をつくったんです。「社長も高崎商科大生でした」と打ち出した内容です。「それではワークマンの看板になってしまう」と周囲から反対されましたが、伝えたいことを伝わりやすい言葉で伝えることが必要だと思い、そのまま掲出しました。すると、まず卒業生から反応がありました。
それから地域の方にも少しずつ「あっ、ワークマンの大学ね!」と言われるようになり、これがブランディングに注力するきっかけでした。この出来事から、ターゲットを受験生から地域まで拡大していくようになりました。
──具体的にはどのような取り組みをされているのでしょうか?
ブランディングを強化し始めたのはここ2~3年ですが、2014年から「3.5本の矢プロジェクト」と称し、企業連携教育を行ってきました。「実学重視」という教育理念にもとづき、学生が授業での学びを実践的に活かせる場が必要だと考えたのです。アドビ、楽天、電通に働きかけ、革新的企業3社(3本の矢)が成長の可能性を秘めた学生(0.5本の矢)を育てるというコンセプトでプロジェクト型学習を実施してきました。学生向けに推進した企業連携でしたが、教職員も価値の見出し方を学びました。この学びは後の広報活動にも活きています。
また、その他にも面白法人カヤックと新たな入試を開発しました。ブレインストーミングを取り入れた入試で、2019年から制度設計を進め、2020年10月の入試で初めて導入し、話題になりました。社会との接点を多く持つ本学が、高等学校における探究教育と、濃密でリアルな実学教育を結び付け、若者のより一層の成長を実現する日本初の取り組みです。入試制度は世の中へのメッセージ。何より新入試を通じて、クリエイティブな大学であるという認識を持ってほしいという思いがありました。
──2021年4月に大学開学20周年を迎えられたそうですが、変化はありましたか?
周年を機に、「to TUC計画」を...