いくら会社が方針を定め、未来のブランドを示したとしても、ブランドを体現していくのは、社員。社内での認知が進んでいなければ、ブランド価値を上げていくことは難しい。本稿では、インターナル・ブランディングを進めていくステップを紹介する。
社員のモチベーション向上や社内活性化は重要な経営課題であり、多くの企業がその課題に向けた施策に取り組んでいます。また、市場環境が複雑化する中、自社のアイデンティティ(=らしさ)の再確認、再構築に取り組む企業が増えています。
こうした状況と相まって、ブランドというひとつの旗印のもとで、トップと社員が価値観や方向性を共有し、社内からブランド価値向上を目指す「インターナル・ブランディング」が重視されるようになっているのです。
インターナル・ブランディングの目的は「ブランドの社内浸透を図ること」と「ブランドを基軸に社内の活性化を図ること」の2つであり、それぞれ次のような活動視点が挙げられます。
目的❶
ブランドの社内浸透を図る
●ブランドに対する社内の認識を高める。
●自社ブランドが提供する価値や方向性を社内で共有する。
●社員が自社ブランドらしい行動をするようになる。
目的❷
ブランドを基軸に社内の活性化を図る
●企業あるいは事業のビジョンやミッションなどに対する認識を高める。
●方向性や価値観についてトップと社員のベクトルを合わせる。
●社員の意識やモチベーションを高め、より良い社内環境や企業風土をつくる。
社員のロイヤルティや現状認識を把握する社内ブランド意識調査を含め、目的の達成を目指す様々な施策は、ブランド価値向上だけでなく企業体質の改善にもつながります。「インターナル・ブランディング」は、経営において今後益々重要になると考えられます。
“らしさ”を理解し行動へ
インターナル・ブランディングは、社員が自社ブランド“らしさ”やその提供価値を認識し、それに基づく行動につなぐことが基本です。
社員が“らしさ”や提供価値を認知・共有することから始まり、それを理解して共感・納得し、行動できるようにするプロセスを踏みます。そして、その実践には「見える化」「自分ごと化」「行動化」という3つのステップが重要となります。ここでは、広報担当者が推進役になることもあります。