社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。

100回目の誕生日会をイメージしたイベント会場には、バースデーケーキを模した装飾が施された。
日本の洋菓子の黎明期を築いたユーハイムが、2022年3月に日本初出店から100周年を迎えた。
同社では、創業者であるカール・ユーハイムが日本への永住を決心し、1922年3月に横浜で「E・ユーハイム」を開いたのち、関東大震災を経て神戸に移り「ユーハイム」神戸1号店として再興する1923年11月までの「20カ月」を周年期間としている。
店頭でのつながりをテーマに
周年事業のメインテーマは「店頭(現場)でのつながり」。それを体現しているのが100周年事業のイベント「ハッピーバースデートゥーユーハイム」だ。ユーハイムの100歳の誕生日会に顧客を招待するというコンセプトのもと、イベント実施エリアの店舗では開催の1カ月前から1080円以上の購入者にイベントの招待状と、オリジナルデザインのノベルティ(ハンカチ)を配布。期間中にハンカチを身につけて来店すると、ハズレなしの福引「ユーハイム100周年ガラポン」に参加できる仕組み。
福引の商品には、「オーダーメイドケーキ」や「パーティーバウム」など、同社ならではのアイテムを提供した。
「ユーハイムは100年にわたりお客さまに育てていただきました。不特定多数の方へのPRも重要ですが、当社の財産は、店頭におけるお客さまとのやり取りですので、店頭配布という手法を選びました」とその思いを語る本社企画本部の豊慎二氏。
神戸阪急でのイベント初日にはオープン前から会場に並ぶ人の列ができ、神戸と広島の会場では期間中におよそ1800人がガラポンに参加した。「わざわざハンカチを身につけてまで来てくれる方はいるのだろうか⋯⋯という不安もありましたが、列に並ぶお客さまの姿に、あらためて地域の方々に支えられてきたことを感じました」。

「ハッピーバースデートゥーユーハイム」の招待状とノベルティのハンカチ。どちらもユーハイムチェックを活かしたデザインとなっている。
支店の枠を超えて一致団結
通常の催事は開催店舗のメンバーで完結させるが、周年イベントでは関西エリアの店長たちが運営に携わり、各支社の若手職人が店頭に立って実演を行った。「現場のつながり」というテーマに基づいて各支社から人を送り合い、応援し合うことで、現場の士気が高まった。
「コロナ禍の開催と...