創業以来40年以上、インターナルコミュニケーション一筋の事業を展開してきた産業編集センター。社内報制作のスペシャリストとして、昨今のインターナルコミュニケーションの潮流とコミュニケーション設計のポイントを解説する。
社内報制作をはじめ、ブランドステートメントの作成や、それを社内に浸透させる仕組みづくりを行う産業編集センター。同社の事業推進部・はたらくよろこび研究所部長の相山大輔氏は、今の時代にインターナルコミュニケーションへの注力が欠かせない理由を、次のように解説する。
「今、企業におけるコミュニケーションが、大きなターニングポイントを迎えています。コロナ禍はもちろんのこと、パーパス経営やSDGs、サステナブルなど、今までとは異なる価値観が押し寄せ、大きく状況が変わりつつある中、企業ブランディングの視点から見ても、インターナルコミュニケーションは注目されています」。
インターナルコミュニケーションの活性化については、施策を行った企業の9割近くが効果を感じていると相山氏。中でも「コミュニケーションの活性化」や「企業風土の醸成」などへの効果を実感する企業が多いという。コロナ禍前なら会社に行けば“言わずもがな”で伝わっていた企業文化が欠落し、“あえて”注力しなければコロナ禍以前のような一体感がつくれない、と危惧する企業が目立つと指摘する。
そんなインターナルコミュニケーション促進のために企業が採用しているツールの約8割を占めるのが「社内報」だ。「社内報を選ぶ理由としては、定期的に全社、全グループ共通で語れる“情報プラットフォーム”として最適だから、というアンケート結果が出ています。最近の傾向としては、やはり紙からウェブへの移行が顕著です」。
社内の姿勢をそのまま社外へ
「社内報」を利用し、社内の姿勢をそのまま企業姿勢として社外へと示し、そのことで会社への求心力を高めている好事例が、トヨタ自動車の「トヨタイムズ」だ。このインターナルブランディングの発想に基づいたコミュニケーション設計こそ、重要だという。
「昨今、社会における企業の存在理由(パーパス)を明確にし、それに紐づく事業を実践することで、利益と社会貢献を両立していこうとする動きが強まっています。ステークホルダーとのコミュニケーションにおいても、企業の存在価値を社内外問わずシームレスに発信していくようになっています」。
実際、産業編集センターのクライアントでも社内報をそのまま外に出す企業が増えているという。日本マクドナルドでは、社内報をコーポレートサイトで公開。記事の関連動画をSNSで投稿したところ、7万回再生されるなど、より多くのステークホルダーに企業姿勢を伝えることに成功している。
他にも、総合化学品メーカーのデンカでは、コーポレートサイト上で社内報をすべてPDFで閲覧できるようにアーカイブ、ソニーグループではコーポレートサイト上で、ブログ形式で配信している。
さらに、相山氏は「表裏一体のコミュニケーション」を実現するための設計のポイントとして、①インサイト ②運用設計 ③接点開発 ④クリエイティブ ⑤効果測定の5つを挙げ(図)、複数の事例を挙げながら具体的な取り組み方を紹介した。
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