人的資本に注目が集まる中、「何から始めればよいか」と悩む担当者も多いのではないか。国際標準化機構(ISO)が2018年に定めた、人的資本マネジメントに関する国際的な情報開示ガイドライン「ISO30414」をもとに、社内の現状と取り組むべき項目を整理し、エンゲージメント向上につなげるためのポイントを聞いた。
人的資本の国際的開示ガイドライン「ISO30414」。ステークホルダーの関心が高い「ダイバーシティ」「リーダーシップ」「組織風土」「健康・安全・幸福」「後継者計画」などの11項目が網羅的にカバーされており、多くの指標に計算式が設定されていることから、社内で議論すべき指標や、社外へ公開すべき指標を整理できるのが特徴だ。
その「ISO30414」に沿った開示が認められ、2022年3月、日本初の認証を受けた、リンクアンドモチベーション。社名の通り、モチベーションや従業員エンゲージメント向上に関するサービスの提供・コンサルティングなどを行うが、そのロールモデルとして、同社自身も開示に先駆的に取り組む。
同社執行役員の川村宜主氏は、ISOを活用した開示のメリットを、こう語る。「当社では『ISO30414』に定められている全項目に対し、データ・取り組み・方針をまとめ、開示しています。元々、人的資本経営もしくは組織人材戦略の部分を社内で比較的共有している会社ではありましたが、改めて、数字や根本の考え方を含め、“全体感”を共有できたことが、社内で理解を醸成する上でも、非常に大きかったと感じます」。
自社にとっての重要度を定める
しかし、単に開示するだけでは不十分と川村氏は警鐘を鳴らす。
「『ISO30414』には11項目58指標あり、網羅性の高いものですが、その...