業界の慣習やルールに縛られず、ダイバーシティ推進に成功している千葉銀行。制度の策定に終わらず、いかにして現場を変革してきたのか。浸透にあたっての広報ツールの使い分けにも注目したい。

2015年、「ダイバーシティで 強く しなやかに ~価値観の多様化で新たな発想を生み出そう~」をスローガンとしたダイバーシティ行動宣言を策定。シンボルマークとなるロゴを制定した。
CASE2
#ダイバーシティ #行内報 #フォーラム
DATA | |
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従業員数 | 4292人(グループ連結、2022年3月末時点) |
広報部 | 9人 |
「多様な人と人が連携し、お互いの持ち味を活かすことで環境の変化に柔軟かつスピーディに対応できる組織を創る」ことを目指し、ダイバーシティ推進を持続的成長のための経営戦略として策定。経営トップの強いリーダーシップのもと、全行一体となり着実に施策を実行し、D&Iを浸透させている千葉銀行。
その結果、「挑戦しやすい風土の醸成」「管理職に占める女性比率の増加」「男性の育児休暇取得率の向上」「シニア人材の活躍」などの成果も表れており、経済産業省が実施している2020年「新・ダイバーシティ経営企業100選プライム」では、金融機関として初めて選定、2022年には厚生労働省が実施している「プラチナえるぼし」に銀行業で初めて選定された。
専門組織の設置と広報の連携
ダイバーシティ推進の軌跡には、行員の4割を女性が占め、銀行業界で初めて女性支店長が誕生した背景がある。2005年頃から女性活躍推進に注力し、職域拡大・人材育成・環境整備をスタート。2011年には、仕事と家庭の両立、キャリアアップを支援するために、人事部問に「女性活躍サポートチーム」が誕生。相談窓口として機能しながら、浮き彫りになった課題に対して具体的な制度を策定し、ひとつずつ女性活躍のハードルを取り除いてきたという。
そして2014年にその対象を拡大。女性だけではなく、障害者・シニア・外国籍・性的少数者など行員一人ひとりの個性や能力に焦点を向けるべく、女性活躍サポートチームが「ダイバーシティ推進部」へと変化した。同時期、役員・管理職・若手・シニア・本部・営業支店などから多様なメンバーが集まる組織横断型の「ダイバーシティ推進委員会」も設置された。
現在は、この2つのチームを中心に行員の意識・行動改革、キャリア形成支援、働き方改革、各種制度の整備・改善に取り組むほか、広報部と連携しながら現場への周知活動にも従事している。
経営トップが繰り返し発信
「組織への浸透にはトップが繰り返しメッセージを送ることが重要だと実感しました。当行では、2015年から継続して、約200人の役職員が参加する『ダイバーシティフォーラム』を開催しています。その場で経営トップがダイバーシティ推進に関するメッセージを発信。さらに...