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長寿企業の極意・周年イヤーの迎え方

モスフードサービス50周年、地域に深く根差したブランディング

モスフードサービス

社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。

「なりもす駅」表記やオリジナルヘッドマークをつけた「MOS号」、記念切符など、鉄道好きでなくとも話題にしたくなるビジュアルが注目を集めた。

モスバーガーを展開するモスフードサービスが創業50周年を迎えた。

周年事業に向けて744人の全社員(当時)にアンケートを実施し、社員に対するロイヤリティ向上とエンゲージメント醸成に加えて、社外に向けたステークホルダーへの感謝、企業ブランド向上、未来のモスに対する期待感・ワクワク感の醸成といった目的を設定した。

地域を巻き込んだ周年事業

社外向けに実施した「なりもすへ行こう!」は、モスバーガー1号店である成増店の認知度アップに加えて、成増への感謝と地域活性をテーマに企画。成増店をリニューアルして約2カ月の期間限定で「なりもす店」としたほか、成増店がある「なりますスキップ村商店街」にオリジナルフラッグ60本を掲出した。

さらに、東武鉄道とコラボレーションして東武東上線成増駅のホームと南口の駅名看板を「なりもす駅」に変更し、池袋駅~小川町間ではオリジナルヘッドマークをつけた「MOS号」を運行。東武東上線の主要駅で2000セット限定の「モスバーガー50周年記念乗車券」を販売するなど、キャッチーなビジュアルも含めてSNSを多いに賑わせた。

その仕掛けの数々は「クチコミがいちばんの広告効果」という創業者の言葉に基づいている。ユーザーが体験できる要素を意識し、単発ではなく1~2カ月かけて実施したことで、現代版のクチコミであるSNSでの拡散につながった。

「自社の誕生日を自分たちで祝うことに抵抗があったので、50周年を機に成増を盛り上げられたらという思いで企画しました。ほかにも東武バスの行き先表示が『なりもす』になったり、『西友なりもす店』のサイトが登場したりするなど、想定外の楽しい連携も生まれました。東武鉄道の乗降者数も増えたと聞いています」と執行役員 会長・社長室長の金田泰明氏はその手応えを語る。

推進専任者であり、会長・社長室 社会共創(SDGs)グループの天羽克仁氏はコラボ企画の成功をこう振り返る。

「印象的だったのは、事業のご説明に伺う中で、皆さんがモスとの思い出を語ってくださったこと。板橋区の担当の...

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