報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
ワールドフォトプレス『モノ・マガジン』DATA | |
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1982年に創刊し、モノ情報誌のパイオニアといわれる『モノ・マガジン』(ワールドフォトプレス)。モノにこだわる読者からの支持が厚く、1980年代にはフライトジャケットやジッポーライターといったトレンドも生み出した。主な読者層は30~40代の男性だが、創刊初期から手に取っている60代の読者も多いという。
現在発売されている男性誌の中では珍しい、月2回発行(年間で22冊)の同誌。取り扱うテーマはファッションからライフスタイル、雑貨、グルメ、エンタメ、カルチャーまで幅広く、毎号飽きさせない。アウトドアや文房具、バイクなどの定番企画で昔からのファンを魅了させつつ、今まで『モノ・マガジン』を読んだことがなかった層にもリーチできるチャレンジングな企画も織り交ぜることができるのが強みだ。
年間22冊発行の強み
「モノは文化だ!」をコンセプトに掲げる『モノ・マガジン』。編集長の前田賢紀氏は「モノが背負っているヒストリーを丁寧に紹介することで、単に『便利だから』『スペックが良いから』というだけでは割り切れない、うまく言語化できないけれど『これが欲しい!』『心に刺さる!』と思ってもらえるような誌面にすることを意識しています。つまり、情報価値よりも情緒を攻めるということです」と語る。
近年で大きな反響を得た特集が、「憧れの木の家 風の時代のBESS」と題した2022年2月16日号だ。人気ログハウスブランドのBESSの魅力を約60ページにわたり徹底深掘り。さらに、2022年3月2日号ではダイハツの軽商用車「ハイゼット」について約50ページを割いて紹介するなど、ワンブランド・ワンメーカーに特化した特集が人気を博している。
この背景にあるのは、コロナ禍を経て読者が雑誌に求めている質が「“広く浅く”よりも“狭くても深い”ものへと加速している」からと前田氏は指摘する。このようなエッジの効かせ方ができるのも、年間22冊発行している『モノ・マガジン』ならではだ。
広報担当者の人柄が肝に
取り上げるテーマは、各編集部員の趣味や好きな分野から企画化することも多い。また、プレスリリースや広報・PRの担当者からの情報提供も参考にしているという。「皆さん、私の興味ある・なし、知っている・知らないにかかわらず、幅広い情報を教えてくれるので...