テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、実際に人気番組の制作者にインタビューしメディア対応の極意を聞き出します。
『THE TIME,』 |
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朝の時間帯は、新番組の制作者にとって、特に難しいと言われている。
通勤や通学前の慌ただしい時間帯だけに、視聴者はチャンネルを動かさないことが多い。そのため後発の番組が、割り込む余地はかなり小さくなってしまう。
加えて「朝に伝えるべき情報」は、ニュースや天気など、どの局も大きく異なるわけではなく、先行する番組との違いを打ち出すのも容易ではなくなっている。
正攻法で挑む朝の新番組
この最難関とも言える時間帯で2021年10月に始まったのが、TBS『THE TIME,』だ。列強ひしめく、この困難な時間帯で、どのように伍(ご)していこうとしているのか。
「『THE TIME,』は、『正攻法』の番組です。全国からの中継を交え、テンポ良くニュースを出していきます。他局から視聴者に来てもらうのは確かに大変です。ですが、『正攻法』で挑んで、こちらに来てもらえるようになれば、簡単に覆らないものです」。こう語るのは、『THE TIME,』の立ち上げから携わってきた、高橋務チーフ・プロデューサーだ。
朝の時間に情報を伝えるうえで、「テンポの良さ」も欠かせない。テンポ良く伝えるために、『THE TIME,』ではあえて報道・情報番組では定番となっている出演者の構成も見直した。
「朝はゆっくり座っている人がほとんどいない時間帯です。視聴者のスピード感に対応するには、意見を聞くコメンテーターは必要とされていないかなと感じました。必要になるとしたら解説です。スタジオで、あるいはVTRで解説する。なので、必要な解説は入れつつ、コメンテーターを置かないことにしました」。
また、番組が特に重視しているのは家族、中でも...