社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。

湘南の研究所で撮影されたCMには、チームの社員たちが登場。第2弾ではダイバーシティをテーマに、日本とボストンで協働しながら新薬開発に取り組むチームを撮影した。どちらも特設サイトで詳細なストーリーを追うことができる。
バイオ医薬品のリーディングカンパニーである武田薬品工業が2021年、創立240周年を迎えた。周年イヤープロジェクトでは、「世界に尽くせ、タケダ。革新的に。誠実に。」というキャンペーンコピーのもと、社内外に向けたブランディングキャンペーンを展開。
2021年3月に複数の社外調査を実施した結果、売却した一般医薬品事業のイメージから脱せていないことや、社員の顔が見えないという課題が表出。サイエンスを要とする同社らしく、客観的なデータに基づいたロジック構築を行い、周年事業の施策を「会社を知ってもらう」「社員を知ってもらう」「仲間(共感してくれるパートナー)をつくる」の3本柱に決めた。
社員自らがアンバサダーに
プロジェクトを進める上で重視したのは、ステークホルダーである社員を巻き込み、“自分ごと”につなげること。「社員自らアンバサダーになってもらうことを主軸に置いたコミュニケーションを意識しました」と話すのは、プロジェクトリーダーを務めるチーフ グローバル コーポレート アフェアーズ オフィサーの大薮貴子氏。実際、周年事業のディスカッションチームには社員240人が自発的に手を上げ、38回のセッションを通じて“自分ごと”につなげるための活発な議論が行われた。
まず、「会社」と「社員」を知るツールとして、コンセプト動画やテレビCM、特設サイトを制作。実際の社員の姿を通じてコンセプトと企業姿勢を伝える発信に注力している。とくに特設サイトは、同社の“サイエンス”を社内外に伝える重要な役割を果たす。
「すべての患者さん(Patient)、ともに働く仲間(People)、いのちを育む地球(Planet)という3つの『P』のためにデータとデジタルの力でイノベーションを起こす、という当社のビジョンを伝えられるようテーマを設定して進めました」と話すのは、グローバルコーポレートマーケティング・ブランディング担当の池井沙織氏。
その言葉通り、iPS細胞を活用した治療薬の研究チーム『T-CiRA』の取り組みや...