4月に広報セクションに異動・配属になり、今月号から『広報会議』を手に取りインプットを始める方も多いのではないでしょうか。春は、始まりと出会いの季節。この連載では新たな発想や気づきと出合うべく、様々な大学広報事例をお届けしています。
「社会貢献」と広報
今回は、大学の3つの基本機能(教育・研究・社会貢献)のひとつ、「社会貢献」に対して広報セクションができることについて考えてみたいと思います。
「大学の社会貢献」を広義に捉えると、「教育・研究活動で培われた知識、情報、技術などを広く社会に還元すること」が挙げられます。研究成果のプレスリリース、公開講座、講義のオンライン公開などがイメージしやすい手法です。一方で、学生による近隣住民向けの防災ボランティア活動や子ども食堂など、対象を絞った狭義の社会貢献活動もあります。
さて、広報ができる「社会貢献」とは何でしょうか。広報活動である以上、情報発信とアクションをセットにして考え、まずは「どこの誰に、何を届けるか」を整理するといいと思います。世界・日本の単位、キャンパス所在地の行政単位、キャンパス近隣など、どれくらいの範囲で見るか。また、「何を届け、その結果どう思ってほしいか」を一つひとつ整理していくと、企画・実行するアクションが見えてきます。
筆者自身はよく「社会貢献」を「地域貢献」と読み替えます。そのほうが対象を明確にイメージでき、できうるアクションが発想しやすくなります。そして「貢献」という表現だと何となく上からに感じるので、地域「連携」や「協働」だと意識します。
個人的にもっともイメージしやすいのは、キャンパス近隣です。近隣の皆さまや行政関係者らとどう関わり、どんな気持ちを抱いてもらいたいか。そういった観点で「社会貢献」を見つめると、きっと大学それぞれの特徴に応じた「やりたいこと」や「できること」が浮かび上がってくると思います。
大学固有の魅力を活用
今回は、大阪公立大学の前身校、大阪府立大学(以下、府大)において、2010年から毎年続けている「府大花(さくら)まつり」の事例を...