日本唯一の広報・IR・リスクの専門メディア

           

サイト翻訳入門

サイトの多言語化、人力翻訳と機械翻訳をどう使い分ける?

Supported by Wovn Technologies

「サイトの翻訳に手が回らない」。そんな広報担当者に向け、サイト多言語化の専門家が、ステークホルダーの満足度を高める翻訳のコツを解説します。

*1 Statista 2020年 “Most common languages used on the internet as of January 2020, by share of internet users”
*2 Wovn Technologiesが試算

日本企業の「コーポレートサイト」は、長らく日本語だけ、もしくは一部が英語で情報発信されてきました。その背景には、多言語化に対応したくても、翻訳が追い付いていない状況がありました。

しかし今、これまでにないほどコーポレートサイトの重要性が高まっています。コロナ禍で海外出張が減り、カタログがオンライン化するなど、海外から日本企業のサイトが見られる機会が増えているのです。加えて優秀な外国人材の獲得競争も進み、サイトにアクセスするステークホルダーが多国籍になっています。

同じ翻訳方法を続けますか?

一方、コーポレートサイトの情報量は爆発的に増え、企業のポータルサイトとして機能するようになっています。

そんな中、従来の人力翻訳を続けていれば自ずと限界が来るわけです。仮に1文字10円で翻訳するとして10万文字なら100万円、1000万文字なら1億円。投資対効果が見込めなければ、限られた情報だけを英語対応するしかありません。そこで期待がかかるのが、劇的に進化する機械翻訳の技術です。

機械翻訳の新しい使い方

機械翻訳の歴史は50年以上昔まで遡ります。当初はルールに当てはめていくだけの翻訳でしたが、現在は人間の脳と同じような構造で学習するニューラルネットワークをもとにした機械翻訳が主流です。2016年にはグーグルがニューラル機械翻訳を導入しました。

市民権を得つつある機械翻訳ですが、その内容はまだ心もとなく、社員間のメールでは気軽に使えても、コーポレートサイトとなると、機械翻訳だけでは不安な場合もあります。「翻訳会社に依頼するとコストがかかりすぎ、機械翻訳では間違いが多く事故になるかもしれない」。この折衷案として出てきたのが、下書きに機械翻訳を使い、それをもとに人力で修正をしていく、MTPE(マシン・トランスレーション・ポスト・エディット)という方法です。人力に比べ、時間も費用もだいたい10分の1になると考えると分かりやすいと思います。

翻訳方法はこう選べ

コーポレートサイトの情報量は多いので、翻訳するならステークホルダーからの要望リストで一番多いページから着手すればいいでしょう。全てを人力翻訳するのではなくMTPEも掛け合わせてみてください。

サイトが扱う情報の目的や種類に合わせて翻訳方法を選ぶのがおすすめです。例えば会社の住所や経営陣の名前などの企業情報は、100%正しいマスターデータを用意します。製品情報は、季節ごとに大量の商品を出しているケースもありますから、翻訳方法の選択は事業部の判断になるでしょう。

利用規約などのリーガル関連は法務チェックを行います。企業理念のように、直訳よりも伝わる、クリエイティブな表現が求められるものもあります。IR情報は、言語によって公開タイミングにズレがあると海外投資家からのクレームになりかねませんのでスケジュールに注意します。

これからのサイト翻訳の基準

サイトで扱うのは文字情報だけではありません。翻訳と言うと文字情報が対象になりがちですが、フォントや画像などデザイン情報への配慮も欠かせないのです。例えば問い合わせフォームに、名前の「ヨミガナ」や「性別」が必須項目になっていると、戸惑う方がいます。ダイバーシティを意識したサイトのデザイン対応は、今後さらに企業に問われていくでしょう。

またサイトでもう一つ重要なのが公開スピードです。これまで翻訳は正しさ、品質がすべての基準でしたが、翻訳してチェックして、レイアウトを直して、と公開までに1、2カ月もかかっていては、変化の激しい企業活動に適応できません。コロナ禍での働き方の指針や、世界情勢への対応情報は、あっという間に陳腐化してしまいます。

サイトの場合、公開後に修正可能という利点がありますから、100%正確かどうかよりも、98%の精度でもできるだけ早く公開して、ユーザーの満足度を高める、という視点がビジネスを成功させるために重要なのです。

企業独自のエンジンを持つ未来

サイト翻訳を通じ、企業にまつわる情報の翻訳データが蓄積され、用語管理ができるようになると、翻訳はコストではなく、資産へとその認識が変化していくでしょう。翻訳エンジンをつくること自体は、実は難しくないため、企業がプライベート翻訳エンジンを持ち、独自のデータを学習させていく時代も近い将来やってくるはずです。翻訳ボリュームが多い企業は特にプライベートエンジンと相性がいいのです。

現在、機械翻訳のエンジンは100種類以上あります。例えば「DeepL」は翻訳の品質がいいけれど、タグが入っているHTMLの文章なら「Google翻訳」が得意など、特徴があります。皆さんの用途に合わせた翻訳エンジンを選び、求める水準の翻訳になるよう修正・レビューしていく方法をぜひ試してみてださい。

Wovn Technologies
取締役副社長 COO
上森久之(うえもり・ひさゆき)

デロイト トーマツにて、新規事業/オープンイノベーションのコンサルティング、会計監査、M&A関連業務などに従事。公認会計士登録。2016年、Wovn Technologies COOに就任。2019年より取締役副社長。

Wovn Technologiesは、追加のシステム開発が不要のサイト自動翻訳サービスを提供する。サイト更新を検知し翻訳、デザイン変更もできる仕組み。世界中の人が、すべてのデータに、母国語でアクセスできるようにすることを目指す。https://wovn.io/ja

おすすめの連載

特集・連載一覧をみる
広報会議Topへ戻る

無料で読める「本日の記事」を
メールでお届けします。

メールマガジンに登録する