社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。
「美しい人生を、かなえよう。」これは2021年10月5日に創業100周年を迎えたタカラベルモントが2019年に制定した企業目的(パーパス)だ。
パーパス理解が大きな課題に
「2018年2月に社内横断プロジェクト『MOVE_T』が始動し、1年かけてパーパスを制定。理解浸透を図ってきました」と話すのは広報室の石川由紀子氏。しかし、2021年春に実施した社内アンケートでは7割が『自分の仕事と結びつけられていない』と回答。「パーパスを単なるポエムで終わらせず、社内外へ浸透させるには“見える化”が重要」と石川氏らは経営陣に提案。その結果、100周年事業は①パーパスの理解浸透 ②社員のエンゲージメント向上 ③地域への恩返しに注力することが決まった。
パーパスの理解を目的としたキービジュアルとショートムービーは10月5日の創業記念日に公開され、社内のイントラネットなどでも展開。すると、『仕事と結びつけられていない』という回答は2割ほど改善された。「何年かかっても、全社員の理解を目指していきます」。
社員のエンゲージメント向上施策としては、国内外で働く3000人に向けて感謝を伝える吉川秀隆代表取締役会長兼社長のメッセージをオンライン配信し、さらに要点をまとめたレターを8カ国語に翻訳して配布。2022年度は、オンラインも活用しながら社長自ら全国の営業所をまわるプロジェクトも予定している。
10月下旬に発行した社内報『宝箱』の創業100周年特別記念号には、全社員に隅々まで読んでもらうための工夫が詰まっている。「次の100年を考えるきっかけとなる“未来志向”の記事で、読んで楽しいコンテンツであること。そして、たくさんの社員の顔が見える誌面づくりを意識して制作しました。特別付録の『廃棄レザー ネームホルダー』も、当社のSDGsプロジェクトを“自分ごと化”するきっかけになればと考えました」と...