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リスク広報最前線

「PR」と記載すればよい?TikTokの事例通じて考えるステマ問題と広報

浅見隆行

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

問題の経緯

2022年1月24日

アフィリエイターやインフルエンサーに自社の商品・サービスを紹介してもらう際には、事前に「こういう言い回しはしないでください」など、NG表現などをまとめたガイドラインを作成しておくことが肝要だ。

©123RF


TikTokの運営会社が、インフルエンサーに金銭を支払い、指定した動画をPR表記なしでTwitter上に拡散させていた問題。1月24日、読売新聞の取材で分かった。インフルエンサーに依頼をした担当者は社名を隠し、仲介業者を装うなどして連絡。「目的はTikTokのインストール」「関連キーワードを入れて」などの指示があったとされる。同紙によると、インフルエンサーのひとりは「報酬は1年半で1000万円は超えていた」と明かしているという。

TikTokを運営するByteDance(バイトダンス)が、Twitterのインフルエンサー20人に報酬を支払い、TikTokに投稿されていた動画をTwitterで拡散させていたことが明らかになりました。広告であることが表記されていなかったことから、いわゆるステルスマーケティングではないかと批判を浴びています。そこで、今回は、危機管理広報のポイントとともに、SNSを利用した広告がステルスマーケティングとの批判を受けないために気をつけるべきポイントを解説します。

新聞報道で明るみになったステマ疑惑

TikTokが2019年7月から2021年12月末までにTwitterのインフルエンサーに報酬を支払って、こうしたマーケティングをしていた事実は、2022年1月24日付の読売新聞の報道によって明らかになりました。その時点でのByteDanceのコメントは「サービスや商品ではなく、コンテンツの拡散であるため、広告表記が必要という認識はなかった」といった内容のものでした。ステルスマーケティングをわざと行ったわけではないと強調したいようなコメントとも受け取ることができます。

しかし、2022年2月3日には読売新聞が続報を掲載。1年半で1000万円以上の報酬を得ていたインフルエンサーの存在や、ByteDanceの担当者が社名を隠し仲介業者を装い、「目的はTikTokのインストール」「関連キーワードを入れて」などと指示し、アプリの利用登録に誘導しようとしていた事実が明らかになりました。前述の「認識はなかった」とのコメントとは真逆の事実が明らかになったことで、ByteDanceは真実を隠そうとしていたと、消費者から批判される対象に変わります。

そもそも「ステマ」とは?

ステルスマーケティングが批判されるそもそもの理由は、企業が消費者を騙してサービスを売ろうとしていると受け取られるからです。実際には...

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