広島県は2020年4月TikTokを活用した施策を開始。狙いは若年層へのコロナウイルス感染症対策の啓発だ。コロナに関する知事会見を短尺の動画にして投稿。職員が動画を内製するほかクリエイターコラボも行い、現在は平和、観光に関するメッセージなども発信する。

刻々と状況が変わるコロナに関連する情報を若年層に発信するため、ダイレクトな発信ができるTikTokが活用されている。知事会見を30秒~1分ほどの短尺にした動画を投稿。サムネイルも分かりやすい。
DATA | |
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開設年 | 2020年4月 |
フォロワー数 | 1万6000(2022年2月時点) |
出演者 | 知事、県職員、TikTokクリエイター、VTuberなど |
コンセプト・狙い | コロナ感染防止対策や観光促進など |
更新頻度 | 週1本~ |
編集体制 | 県ブランド・コミュニケーション戦略チーム(約30人)のうち4人が兼務でTikTokを担当。基本は内製だが、インフルエンサー出演動画や、広島で働く人を描く「広島プロフェッショナル」などは連携協定を結んだByteDanceと共に制作 |
広島県のTikTok施策。その始まりは若年層へのコロナ感染防止対策の啓発だった。湯﨑英彦知事の会見内容を短尺に編集した動画を投稿するほか、職員がコロナ対策を喚起するコンテンツも発信。マスメディアを介さないダイレクトなメッセージを届けている。サムネイルでは「風邪かな?と感じたらかかりつけ医に相談を」「自宅療養サポート体制をさらに強化」など、端的にメッセージを伝える。
同県ブランド・コミュニケーション戦略チームの石田雅之氏は背景についてこう補足する。「これまで実施してきた広報番組や広報紙では若い方々に十分情報が届けきれてない、という課題がありSNSを使って情報を届けたいと考えました。加えて、動画コンテンツは“良いもの”をつくれば、テキストと画像以上の訴求力や共感も期待でき、コロナに対する行動変容にもつながるのではないか、と考えました」。
“読む”ではなく“見る”
県の広報活動を担うブランド・コミュニケーション戦略チームには、約30人の職員がおり、うち4人がTikTokの動画の作成、編集、運用を担当。TwitterやFacebookの運用も兼任する。最低週1回のTikTok更新を目安に、継続的な投稿の計画を立てている。
メンバーのひとりの鍋島勢理氏は、他のSNS施策と比べてTikTokでのコミュニケーションの特徴をこう分析する。「(最近のSNSのトレンドとして)“読む”ではなく“見る”が肝要と言われています。つまり、いかにユーザーに瞬間的に理解してもらうか。(その証左として)短尺の動画の投稿が他のSNSでも増えてきていますが、短い動画でシンプルに情報を伝えるという点において、TikTokは特に秀でていると感じます」。
また、鍋島氏は、行政がSNSを活用する意義をこう話す。「(県民との)信頼関係を築くツールになっていると思います。というのも、どうしても行政は“お堅く、遠い存在”と思ってらっしゃる方が多いと思いますが、県がTikTokを通じて情報発信をしている、その姿勢自体が県民との信頼関係構築につながる、と考えています」。