創業187年の歴史を持つタキイ種苗(しゅびょう)は、若年層を対象に新ブランドを立ち上げた。新ブランドの世界観をより忠実に、という理由から、発信でも広報はあえてサポート役に徹したというが、どういうことだろうか。話を聞いた。
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#自産自消 #家庭菜園 #新ブランド #D2C
創業187年の老舗企業・タキイ種創苗。同社は、2021年10月にD2Cブランド「UETE(ウエテ)」を立ち上げた。申し込むと、種や土、そして麻、不織布でできたプランターなどが一式送られる。本ブランドの特徴はプランターの材質からも分かる通り、都心の小さなスペースでも始められる点だ。コロナ禍でライフスタイルが変化する中、家庭菜園に注目が集まる。このトレンドを捉え、これまでの主な顧客層であったシニアから、若年層への拡大を狙ったのが、「UETE」なのだ。
世界観を意識したブランド
家庭菜園はシニアの趣味カテゴリーに属している。しかし、昨今のコロナの影響で在宅時間が増え、癒しを求めて植物への関心も高まり、欧米を中心に海外では家庭菜園がブームに。さらに、若者世代からは「自産自消」がサステナブルなカルチャーとして支持されている今こそ、彼らに家庭菜園のある暮らしを提案しようと考えた──。そう語るのは、同社通販部の高見太郎氏と井上菜里子氏だ。
本片手にノウハウ学ぶ
ブランドのリリースまでは約1年の時間を費やし、立ち上げ当初からブランドマーケティングを支援するFICCに協業を依頼。ノウハウのないロードマップ策定やクリエイティブ制作をはじめ、商品開発、プレスリリース配信まで二人三脚で進めてきた。さらに、社内の別部署に所属する若手社員も巻き込みながら毎週議論を重ねて、ようやく企画を実現させたという。
これまでシニアを対象としたサービスは種苗をカタログから購入してもらう通販が主。若年層を対象に、ECサイトで販売する、いわゆる「D2Cビジネス」は初の試みだった。そのため...