めがねフレームの国内生産シェア約9割を誇る福井県・鯖江市から、マスク業界に新しい風が吹いている。名産のめがねにヒントを得て、斬新な発想から誕生したマスクについて、開発の経緯と広報のポイントを聞いた。
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国内随一のめがね産地である福井県・鯖江市から生まれたマスクが、コロナ禍で注目を集めている。2021年5月に一般販売がスタートした「ZiBi(ジビ)」は、耳掛け部分がゴムや紐ではなく、めがねのつるの部分にあたるテンプルを応用。マスクをめがねのように耳に掛けることで、耳にやさしく心地よい着用感を生みだした。また、着脱時にはピアスやイヤホンなど耳周りのアイテムに触れたり、外れたりするのを防ぐこともできる。
きっかけは顧問税理士の一言
開発・販売するササマタは、めがねの掛け心地を左右する“ノーズパッド”などを製造・開発するめがね部品メーカー。「ZiBi」のネーミングも、めがね同様に“耳と鼻”を支点にかけることから、「耳鼻」に由来する。そんな、“めがねのまち”ならではの商品が誕生するきっかけは、同社を担当する女性の顧問税理士がコロナ禍で発した、「めがねのアイデアを応用したマスクはつくれないですかね?」との一言だったという。
「当時はコロナウイルスの感染拡大がはじまり、BtoBメインの当社としても物流が止まりかけて苦しい状況でした。ニッチな業種ということもあり、BtoBばかりではなくBtoC向けのアイテムを売る場所として自社ECサイトを立ち上げた時期で、税理士の先生の言葉に社長が呼応し、ECサイトで販売する商品として開発がはじまりました」。
そう語るのは、同社営業部の小須田英氏。2020年3月に同社に入社すると、直後からECサイト立ち上げを担った人物だ。ECサイトの構築後ほどなくして、試行錯誤を経て完成した「ZiBi」のサンプル品を見た際は、「絶対に売れる」と直感したという。「最終的には従業員約100人でモニタリングを行い、フィードバックを集め...