社史や理念、事業の意義を見直す機会となる周年をどのように迎えるか。長寿企業から学びます。
2021年、創業から100周年を迎えたサクラクレパスと2022年90周年を迎える赤ちゃん本舗。
両社の周年イヤーの迎え方から見えてきたのは、従来の周年事業とコロナ禍の企業が迎える周年事業の意味合いは大きく異なってきているという事実だ。
企業価値を見つめ直すきっかけ
その影響について、赤ちゃん本舗の代表取締役社長 味志謙司氏は次のように述べる。「弊社はこれまで、販促プロモーションやイベント中心の周年事業を行ってきました。ところが社会はコロナによって激変し、出生率が低下したことで大きな影響を受けました。その中で90周年を迎えるにあたり、この先どんな企業でありたいか、という社会的価値が問われているのを強く感じます」。
本質を突き詰めた先に見えたのが、“赤ちゃんのいる暮らし”を知りつくした会社として「子育て環境への貢献」を徹底することだったと味志氏は言う。
「例えば、現在進めているのが“ウィズアカチャンホンポ”という異業種間の共創プロジェクト。先日、ミールキットの会社と手を組んだのですが、これにより離乳食だけでなく、子育てで大変なパパ・ママの食生活を支えることもできる。まさに企業理念に適っているわけです」。
子育てには大変な労力が伴うもの。それをサポートすることは即、社会貢献へとつながる。そこがはっきりと見えたことは、次の100周年を見据える企業の節目となった。
「大切なのは、社内の一人ひとりが何をすべきか、という点でバラバラにならないこと。そこで、企業としての方向性を示した“ブランディングブック”を社内向けに配布しています。それを...