報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
小学館『CanCam』DATA | |
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「社会人になったらCanCam!」をコンセプトとした女性ファッション誌の『CanCam』。大学生までの「かわいい」から、社会人になり大人っぽくなりたい人に向けて、シンプルながらどこか甘さのあるきれいめスタイルを提案している。ターゲットは社会人1年目から20代後半の女性だ。
「20代が興味のあることがすべて詰まったファッションバラエティマガジン」という編集方針のもと、ファッションだけでなく、美容やライフスタイル、エンタメまで幅広い情報を届けている。
誌面から「モテ」が消えた
2022年1月号で創刊40周年を迎えた同誌。編集長の安井亜由子氏は「徹底的に読者に寄り添うという姿勢は脈々と受け継がれてきました。20代女性の間で人気があり流行っているモノを取り上げて、一緒に面白がる“実用ファッション誌”であることは40年間変わりません」と語る。
『CanCam』といえば、好感度やモテを意識したコンサバ系ファッションを表す「赤文字系」の代名詞だ。2000年代半ばごろは、人気専属モデル・蛯原友里の「エビちゃんファッション」に代表される「めちゃモテ」ブームを築いた。
しかし、安井氏は「今の20代にとって『赤文字系』はもはや馴染みがない言葉。そのイメージに全く固執はしていません」と語る。さらに、ここ5年ほどで雑誌から「モテ」という言葉は消えたという。その背景にあるのは、読者の価値観の変化だ。
「『みんなに好かれたい』というよりは、『自分が好きな服を着て、それが(結果的に)好きな人にも好かれるといいな』と考える読者が多い。もう、『モテ』を全面に打ち出した特集は必要とされていないのだと感じています」。
全方位に好感度がほしい時代は「めちゃモテ」、Instagramの興隆期には「インスタ映え」、現在はおしゃれで自分の世界をしなやかに生き自立した女性を表す「恵比寿女子」など、時代ごとに20代女性のムードをつかんだファッションを提案してきた。そこに、40年間愛され続けてきた秘訣があると安井氏は言う。
「良くも悪くもミーハーで時代のトレンドに乗ることをいとわず、みんなの興味がある方向へと自然に移り変わってきました。そこが、40年間続けて来られた秘訣かもしれません」。