報道対応を担当するPRパーソンにとって、気になるのがメディアの裏側。企業取材のスタンスや、プロデューサーや編集長の考えに迫ります。
宝島社『GLOW』DATA | |
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宝島社が発行する『GLOW』は、「45才からのごきげんライフを応援します!」というコピーのもと、ファッションや美容、ライフスタイル情報を発信するファッション誌だ。
2012年から始まった「DEAN & DELUCA(ディーンアンドデルーカ)」のオリジナルブランド付録は、毎回完売するなど人気企画のひとつ。日本ABC協会が発表した2021年上半期(1~6月)の雑誌販売部数(月刊男性・女性ファッション雑誌)において1位を獲得。伸長率は前年同期比(2020年1~6月)126%と、雑誌不況と言われて久しい中でも成長を続けている雑誌だ。
妻・母という枠組みで考えない
同誌のターゲットである40代女性は、仕事や家事育児、自身の健康問題、親の介護など、様々なライフイベントを抱えている世代。同誌を束ねる井下香苗編集長は「そういった読者の日々の生活に寄り添いながら、ポジティブに毎日を過ごせるように背中を押したり、生活の中に楽しみを見出して新しい気付きにつなげたりするような情報発信を心掛けています」と語る。
編集方針について「“母である”“妻である”といった枠組みの中で物事を考えたり、何かを提示したりしないようにしています」と井下氏。「もちろん、それらの役割はその人が抱えている背景ではありますが、40代女性の中でも決してひとつの枠組みに集約できるわけではありません。多様性を意識し、役割ではなくて1人の人間としてアプローチするようにしています」と語る。
時流を捉えたサステナ特集
各号の特集は、各編集部員からの案をもとに企画。編集部員は、展示会や発表会、プレスリリース、読者アンケートの結果などの情報をもとに企画案を作成する。また、井下氏自身も撮影現場などで読者と同世代のスタッフやモデル、スタイリストらとの会話をヒントにすることもあり、これらを総合的に踏まえた上でテーマを考えている。
井下氏はリリースの活用法について、「日々集まってくるリリースの内容から、新商品の傾向や時流を読み解いて企画の参考にすることはあります」と話す。
例えば、「コロナ禍でメイクの機会が減り、スキンケア商品が多く展開されている」「マスクにメイクが付かないようにする商品が増えている」といった傾向が読み取れたとする。そうすれば、「そういった商品の特集を組むとしたら...