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職場の多様性と経営倫理

接種の自由と人権──同僚へのハラスメントにも注意

谷 俊子(関東学院大学)

企業成長の原動力として注目が集まるのが組織の「多様性」。しかし多様な従業員が集まるからこそ、生まれる課題もあります。

経営倫理を研究していると、しばしば善意からの行動がハラスメントになってしまったというケースに出くわします。昭和の時代は独身の部下に対して「いい人いるから紹介してあげようか」などと言うおせっかいな上司が多数存在しましたが、今や誰もが「それはハラスメント行為にあたる」と知っています。

時代が流れるにつれ、マタニティ・ハラスメントやアルコール・ハラスメントなどの新たなハラスメントが登場し、「覚えきれない」と嘆く人もいます。しかし全ての従業員には多様な生き方や考え方があって、それを尊重するという姿勢さえあれば、自分の価値観を他者に押しつけることはなく、ハラスメント加害者になってしまうことも避けられます。

雑談が人権を揺るがす?

2021年は、新型コロナウイルスのワクチン接種にまつわる自由と人権の問題が新たに登場しました。日本の法律では、接種するしないは自由で強制はできません。もし企業がそれを強制したら訴えられ、敗訴する可能性が大です。そのことは多くの企業で認識がされ、経営・人事部門から管理職へは「接種は自由。部下に強制はしないように」と通達が行われています。

不特定多数の顧客と接する現場を持つ業界でも慎重姿勢は変わりません。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドも「義務化しないだけでなく、従業員の接種状況も把握しない」とのスタンスを示しています*1

*1 日本経済新聞2021年8月19日「日本企業、ワクチン強制接種に慎重 法制度理由に」

しかし盲点なのが「同僚同士のハラスメント」です。軽い雑談の中であっても接種したかどうかを話題にすること自体...

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