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コーポレートブランディングカンファレンス

未来のお客様との接点を生み出す オートバックスセブンのオウンドメディア

オートバックスセブン

2019年10月に、車のある生活の楽しさを伝えるオウンドメディア『暮らしとくるま』を開設した同社。約2年間を振り返り、なぜこの企画が生まれたか、開設後の苦労やポイントについて解説する。

オートバックスセブンが2019年10月から手掛けるオウンドメディア「暮らしとくるま」。現在、300本弱の記事が公開されている。

1947年2月に創業し、4279人の連結従業員を抱えるオートバックスセブン。国内約600店舗あるオートバックスグループのフランチャイズ本部として、カー用品の卸売から小売や車検・整備、車両買取・販売、板金・塗装まで手掛けている。

2019年10月にオウンドメディア『暮らしとくるま』を開設。車のある生活の楽しさを発信することで、新たな“カーライフの入り口”を提供している。運営するのは、広報・IR部に所属する鈴木恭子氏。「試行錯誤を繰り返してきた」という、企画から運営までの2年間を振り返った。

100年企業を目指す先に

オウンドメディアが生まれたきっかけは、「チャレンジ2050」という社内公募制度。2018年に策定した「2050未来共創」というビジョンのもと、100年企業を目指してさらに価値ある企業として認められるようにチャレンジを続けるなか、「カーライフの入り口にいる生活者に向けたクルマの楽しみ方を提供するオウンドメディア」という提案が採用されたという。

鈴木氏は当時について、「最終の企画提案前、オウンドメディアの現状や他社の事例を踏まえ、会社やオートバックスグループにとって自社サイトを立ち上げる意義や気を付けなければいけない点など、社長を交えて数回ディスカッションした」と振り返る。

当時、同社の課題のひとつに、マス広告でしかアプローチできていなかった一般消費者へのリーチがあった。鈴木氏はオートバックス会員やカー用品消費者に当てはまらない層について、「『オートバックス』という名前は知っていたり、人に連れられて行ったことはあっても、自発的に店舗を訪れる機会は少ないだろう」と推測。

オウンドメディアを通じた情報提示によって、一般消費者の車への興味・関心が高まれば、市場シェアからカー用品の購入時にオートバックスセブンが選ばれる確率が高まると、未来店顧客へのダイレクトアプローチの必要性を訴えた。

ターゲットの深掘りから

また、ディスカッションでは企画提案時の「カーライフの入り口にいる生活者」という対象も深掘り。外部アンケートを導入し、性別・年代や価値観・ライフスタイルといったセグメントからターゲットを選定。30代~40代の女性というデモグラフィック属性以上に、「ていねいな暮らし」や「ハンドメイド」「DIY」といった価値観やライフスタイルというサイコグラフィックを重視した設定となっている。

サイトのコンセプトとネーミングも、ターゲットを掘り下げる過程で定義した。サイト名は複数候補から「“暮らし”というキーワードをぜひ入れたい」と社長が選定。「“くるま”より“暮らし”という言葉が先にきているのは、ターゲット層は生活の中心に車があるわけではなく、暮らしのなかで...

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