国内投資家のうち、売買金額の約6割は個人投資家が占めるとされている。そのため、IR活動には細やかな対応が求められるが、実際にはDXの推進が遅れムダも多い。Macbee Planetでは、そんな現状を打破するウェブホスピタリティツール「I-Robee」を開発した。
IR活動では、投資家一人ひとりに対して細かな対応が必要な一方、IR担当に一任され、属人化し効率化できていない面も多い。その業務のムダの解消に、データとデジタル技術を活用し、投資判断に必要な情報発信や投資家との対話を活性化させようと目を付けたのがMacbee Planetだ。同社が提供する「I-Robee」は、これまでの企業活動の盲点ともいえる“IR活動の最適化”に特化したウェブホスピタリティツールだ。発案者の同社IR担当 前橋 匠氏は、開発に至るまでの経緯を自身の経験から次のように語る。
「私自身がIR担当になってまず感じたのは、個人投資家からの基本的な質問に対応している時間がとても多いな、ということでした。そこで考えたのが、元々当社で開発・運用していたチャットボットサービスを、IR活動の効率化に活用することでした」。
IRのDX
そもそも、企業側が伝えたい情報と投資家が知りたい情報とは、必ずしも一致しない。そこで対話が重要となるのだが、投資家が特に知りたいのは企業の「将来性」だ、と前橋氏は言う。
「企業にとっても、投資家に将来性を感じてもらうことで、長期的に支援してもらえる可能性が増します。そのためには継続したコミュニケーションが必要です。しかし、IR全体がDXに乗り遅れている現状では、それができている企業はほとんどありません。そこで、手軽に投資家と対話できるIR活動に特化したウェブホスピタリティツールがあれば、継続したつきあいもでき、企業価値をより魅力的に伝えられるのではないかと考えたのです」。
使う側にとっての“優しさ”
こうした想いから開発された「I-Robee」の特徴を、同社コンサルティング本部長の藤原賢太氏は3つのポイントに分けて解説する。
「ひとつ目は、大事なのは“伝えたいことが伝わる”という点。チャットボット機能でIR担当者の対応を効率化し、投資家の疑問に即時に対応することができます。また、ポップアップ機能が会社理解を深めるコンテンツへと誘導し、より深い興味につなげます。2つ目は、プッシュ型通知。どんなにいい情報を発信し、関心を1度持ってもらえたとしても、継続的にコミュニケーションしなければ、ファンにはなってもらえませんし、あるいは忘れられてしまいます。通知を許可した投資家に対し、絶えず最新情報を伝達する機会を設けることで、投資家側の判断材料のアップデートや、関心を深めていくことに機能します。3つ目はデータベース機能です。投資家が何を求めているかを仮説検証するため、アクセス情報や施策の成果、質問内容などをグラフィカルにレポーティングできます」。
世にあまたのチャットボットが存在する中、「I-Robee」の競合優位性は“優しさ”にあると藤原氏は言う。
「ツールの導入にあたって重要なのは、使う側にとっていかに“優しい”かだと思っています。IR担当者は、多機能で複雑なツールを求めているわけではありません。必要なのは、ターゲットに適切なコンテンツを適切な手段で届けること。その点I-Robeeは、UIの設計に至るまで使い手にとても優しい仕上がりだと自負しています」。
チャットボットは事前に質問のパターンと回答を用意する形のため、必要項目さえ準備できれば導入までの期間は最短で10日で済むという。ユーザーにとっては知りたい情報が手軽に得られ、実装する担当者にとってはホスピタリティーが確保された“使い勝手のいいツール”といえそうだ。
初歩的な説明から解放
まずは自社内で「I-Robee」を導入したところ、結果は上々だったという。前橋氏はその成果を次のように述べる。
「一番大きかったのは、これまで多かった初歩的な問い合わせがほぼなくなったことですね。また、これまではIRサイトへのアクセス数が1日100~200あるのに対して、問い合わせの電話回数は2日に一度といったペースでした。それが、I-Robeeを入れた後ではチャットボットの起動数が1日あたり10件ほどあります。これは、電話するのは少しハードルが高くて電話せずにいた人にも、企業の魅力を伝える機会を提供できているといえるでしょう」。
チャットボットを介した質問では、中期計画や将来の成長戦略に関するものが特に多かったという。
投資の判断基準がその会社の目指す姿や将来性であれば、一時の施策に共感するよりも、長期的にファンとなる可能性が高くなる。
チャットボットでは、投資家が「知りたい」と思った基本的な情報以外に、より深掘りした質問が選択肢として現れる設計となっており、将来性まで関心を深めることができるのだ。
前橋氏は、投資家の要望に合わせてIR資料を改善することで、その評価が株価にも反映されてきたと話す。これはまさに、IR活動に力を入れることで投資家のファン化が進んでいる好例といえるだろう。
IR活動の改善について、藤原氏は次のように述べる。「IRというのは普通、専任者を置くことが少ない部門です。人的リソースを割けない分野では、課題も顕在化しません。私たちは、こうしたプラットフォーム領域のDXを進めることが真の企業価値を伝えることにつながると考えています。IRのDX、I-Robeeを通じて、IR担当者の手助けをしていければと思います」。
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