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リスク管理と風土改革

企業体質の健全化への最善解 社内で批評文化を醸成しよう!

川崎昌平

間違いを社内で指摘し合えたり、意見を言えることは、組織として透明性を維持するためにも欠かせない。広報は、健全に批評する文化をどう社内に根付かせればよいか。また、実際に批評する際の言語化のポイントについて解説する。

私は、現在勤めている会社で、主にUX(User eXperience)ライティングを軸としたUXデザインの設計を担当しています。クライアントの課題に応じて、プロジェクト単位で最適なユーザビリティを備えたUXを提案するのが仕事なのですが⋯⋯ここ最近、「企業内部におけるUXの改善」に関する相談が増えています。

社内コミュニケーションの課題

この場合のUXは、企業に勤務する社員の方々の行動全般を意味します。つまり簡単に言えば「社員同士のコミュニケーションなどを中心とした関係性をよりよくデザインしたい」という依頼が増えているわけです。

そうした企業の多くは「コミュニケーションがうまくできない」という悩みを抱えていました。もう少し踏み込んでヒアリングすると、「開かれた、建設的なコミュニケーションがとれていない」という課題が見えてきました。アイデアを出し合ったり、率直な意見をぶつけ合ったりするような関係性が組織内部にないと、イノベーティブな施策や共創的なアクションは起こしにくいものです。

いくつかの企業とお仕事をさせてもらう中で、新しい動きや意見を求める姿勢が強い企業ほど、内部的なコミュニケーションに関する課題を解決したいという願いが大きいことが分かってきました。

批評性を持つ社員を育てよう

こうしたケースにおいて、私が最初に提案するのが「自分たちを批評する視点を持とう」というレッスンです。BtoCが主体の業務だと、ついつい「批評は顧客がするものであって、企業は批評される側」といった肌感覚が染み付いてしまっていますが、そんなことはありません。

企業で働く人間が、自分たちの会社を批評することは、間違いどころか、企業体質の健全化につながる最善の手法です。

この場合の批評とは、「業務および社内をよく観察(❶)し、現時点での自社の価値を理解(❷)し、未来の可能性を発見(❸)すること」を意味します(図表1)

図表1 自社を「批評」する方法

出所/筆者作成

もちろん、❶から❸まで最初から完璧にできる必要はありません。まずは丁寧に❶を、それから焦らず❷を実践してみましょう。

日報や請求書ひとつからも「見過ごしていたムダ」や「バランスの崩れた働き方」はすぐに見つかりますし、レポートを読んだりクライアントからのメールを...

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