森喜朗氏の辞任劇通じ、日本の保守的なジェンダー観が世界に露呈してしまった。しかしこれを機に日本のメディアの意識も変わりつつある、と件の発言「女性のいる会議は長い」の当事者たる稲澤氏は語る。無意識の偏見に自覚的にあろうとするメディアの意識変化は広報担当者にとっても他人事ではない。
問題の経緯
2021年2月3日
東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(当時)がJOCの臨時評議員会の場で「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」と発言し、反発を招いた。翌日の会見で謝罪し発言を撤回、続投の意向を示したが、反発は収まらずその後、辞任を決断。その後、「女性を蔑視するとかそういう気持ちは持っていない」としつつ「本当に情けないことを言った」と陳謝している。
メディアはどう見た?
● 会見で幕引きどころか「火に油」万策尽きて森会長辞任へ
(朝日新聞デジタル、2021年2月11日)
●「逆ギレ会見」が招いた辞任の流れ 世界から批判耐えられず
(毎日新聞、2021年2月11日)
● 「面白おかしくしたいから聞いてるんだろ?」森喜朗氏、謝罪会見で“逆ギレ”も(会見全文)
(BUSINESS INSIDER、2021年2月4日)
生活者からの声
● すぐにでも謝罪することは必要だった(35歳女性)
● オリパラに関して日本の代表である人物が恥ずかしい発言をしたので、国内外に対して印象が悪いと思った(30歳女性)
● マスコミが騒ぎすぎ(64歳男性)
● グローバルな視点が足りない(48歳男性)
● 言葉だけの反省で、本質的に理解していない(59歳男性)
森喜朗元東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の発言は、用意されたものではなかった。JOC(日本オリンピック委員会)評議員会にオリンピックへの協力を要請するために出席し、評議員会後に「原稿を用意していない」状態であいさつ、様々な話題に触れた中での1コマだったのだ。
件の発言があった当時、オリンピック・パラリンピックの開催可否を世界が注視しており、あいさつをメディアが取材していた。女性に関する発言の部分を日本の複数のメディア、ニューヨーク・タイムズやAFP通信などが速報。翌日の謝罪会見以降の動きもワシントン・ポスト、CNN、BBC、AP通信、ロイター通信など主要メディアを通じて世界中に配信された。
報道がSNSで拡散した。アイスホッケー女子元カナダ代表のIOC(国際オリンピック委員会)委員が4日、「この人を問い詰めます。東京で会いましょう」とツイッターで...