2021年2月、みずほ銀行のATMで急に取引できなくなるシステム障害が発生。その後も複数回、障害が相次ぎ、9月には金融庁が業務改善命令を出すに至った。こうした複数回、不祥事が発生した際の企業イメージの回復の方法とは。
問題の経緯
2021年2月28日
みずほ銀行で一部のATMで取引ができなくなる障害が起きた。その後、複数回のシステム障害を起こしており、金融庁は9月に業務改善命令を出した。みずほFGの坂井辰史社長とみずほ銀行の藤原弘治頭取らは会見を開き、謝罪している。
メディアはどう見た?
●[社説]みずほの障害連発にあきれる
(日本経済新聞、2021年8月24日)
● なぜ、みずほだけ?繰り返すトラブル、責任論再燃か
(朝日新聞デジタル、2021年8月21日)
生活者からの声
● トラブルが多すぎて利用する気がしない(31歳男性)
● 同じミスの繰り返し(31歳女性)
● 何度も繰り返した点(27歳女性)
● ご迷惑をおかけしました、で毎回いつも終わる(52歳女性)
● 大した処分をしなかった、みずほ銀行を使うのはやめようと思った(29歳男性)
2021年2月以降9月末までに、みずほ銀行で8度のシステム障害が発生。9月22日には、金融庁は同行と親会社であるみずほフィナンシャルグループ(みずほFG)に対して「システム更改及び更新等に係る適切な管理態勢を確保すること」「銀行持株会社として(中略)管理態勢の状況を適切に経営管理する必要がある」等、システムの運用とガバナンス態勢の見直しを求める業務改善命令を出した。
今回はこの事例をもとに、ガバナンスに関わる疑義が生じた場合の広報のあり方を検証する。
抜本的な変化の意向を示す
同行のシステム障害が注目を集めている理由は、システム障害を8度発生させたという頻度の高さだけではない。金融庁によると2020年度に国内の金融機関で起きたシステム障害は約1500件もあり、金融機関においてシステム障害の発生は珍しくない。例えば、2021年8月にはみずほ銀行だけではなく、セブン銀行でもシステム障害が発生している。
にもかかわらず、みずほ銀行のシステム障害が注目を集めている最大の理由は、第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の三行が合併してみずほ銀行が発足した直後の2002年と東日本大震災直後の2011年と、過去にも大規模なシステム障害を起こし、それが多くの顧客の記憶に残っているからだろう。
しかも、2019年には4500億円をかけて基幹システムを新しく完成させてからわずか3年余りでシステム障害を発生させたことも...