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広報担当者のための企画書のつくり方入門

懸賞/プレゼントパブリシティーの企画書を書きたい!ポイントは?

片岡英彦(東京片岡英彦事務所 代表/企画家・コラムニスト・戦略PR事業)

「広報関連の新たな企画を実現しようとするも、社内で企画書が通らない……」。そんな悩める人のために、広報の企画を実現するポイントを伝授。筆者の実務経験をもとに、企画書作成に必要な視点を整理していきます。

懸賞/プレゼント・パブリシティーとは?

自社商品や自社ブランドのパブリシティー獲得を主な目的とし、テレビ、雑誌、ウェブのプレゼント枠に商材を提供する広報手法を、プレゼント・パブリシティー(通称:プレパブ)と呼ぶ。また、単なる「プレゼント」ではなく、一般から広く意見や優れた作品などの応募を求めることが主となる場合は「懸賞パブリシティー(あるいは懸賞広告)」と呼ぶ場合もある。今回は「懸賞/プレゼント・パブリシティー」の企画書の書き方について考えていきたい。

無名の新商品の販売開始時など、多額の費用はかけずに「お試し」の意味を込めてコアターゲットへの認知拡大を図りたい時に「プレパブ」はよく用いられる。また、店舗を多く持つ飲食チェーンでは、メニューのマイナーチェンジがあった際などに、顧客来店の促進のため「無料クーポン」を大量サンプリング(プレゼント)する。顧客の“感想”などをいち早く“口コミ”として世の中に広げたい時などにもよく使われる。

視点1
プレゼント・パブリシティーのルール

「プレパブ」には賞品の提供に関連したいくつかルールがある。消費者庁や公正取引委員会が定める、景品表示法などの法令を必ずチェックして、必要あれば自社の法務部門や弁護士に事前確認を行う必要がある。まずはこの点に十分気をつけたい。

①応募条件とプレゼント(賞品)の限度額

クローズド懸賞とオープン懸賞の大きく2つの懸賞タイプがある。クローズド懸賞は「取引」に付随して提供される懸賞のことだ。

例えば、応募方法などの情報が掲載された特定の雑誌を購入した人だけが応募できる、懸賞を企画する企業の商品を購入してシールを集めて応募する、バーコードをスマホから読み取って応募するなどだ。一般懸賞(「共同懸賞」と「総付」以外のクローズド懸賞のこと)、共同懸賞(複数の事業者が参加する)、総付(そうづけ、ベタ付け=商品・サービスの購入者や来店者に“もれなく”景品を提供する)の3タイプにさらに分けられる。

図1 クローズド懸賞の景品類最高額

一般懸賞

➡10万円
(取引価額が5000円未満は取引価額の20倍)

共同懸賞

➡30万円

総付

➡取引価額の10分の2まで
(取引価額が1000円未満の場合は200円)

また、クローズド懸賞で雑誌に募集の内容を掲載して、景品類を提供する場合は「3万円を超えない額」といったように、限度額や条件が媒体ごとに設定されている。一方、オープン懸賞は、言葉の通り誰でもオープンに応募できる懸賞のことだ。地上波テレビやウェブサイトなどで広く告知し、クローズド懸賞のような取引(購買)条件は無く、最近ではメールアドレスだけでネットから応募できるものもある。また、はがきで応募する昔からのタイプのものもある(平成18年以降は上限金額が撤廃された)。

②プレパブができない商材

薬害の発生リスクなどを鑑みて、薬類のプレパブは禁止されている。また法律で禁止されていない場合でも、公序良俗などの視点でプレパブに適さない賞品もある。これらは事前の媒体による審査で指摘されるケースがある( 射幸心を煽る懸念があるサービス等)。

③「厳正なる抽選」と「賞品の発送」

当選者の選出方法、賞品の発送、発送費用の負担等は、媒体との取り決めで自由に決めることができる。媒体と事前に取り決めを行う必要がある。こうした懸賞に関する諸条件は、消費者庁のホームページ「景品表示法関係ガイドライン等」で必ず確認してほしい。

視点2
PRの「山」をつくる

単発の露出と足の長いPR

プレパブが有効となる場合と、あまり有効とはならないケースについても考えたい。重要なのは広報活動の「山をつくる」という考え方だ。よく新商品のPRの際などに「単発の商品露出ではなく、足の長いPR活動を行いたい」と相談を受ける。「足が長い」という表現は言い換えると「何度も繰り返しメディアに露出する」という意味だと私は大まかに解釈している。

一方、とにかく多くの人たちに商品名を露出するために、「打ち上げ花火」のような広報施策を行いたいと言われることもある。何度も繰り返し露出しなくていいので、瞬間最大的に多くのメディアで新商品や企業ブランドの露出を図りたい。そうした依頼も現に多い。

懸賞/プレゼント・パブリシティーは、このタイプの異なる「瞬間最大(ロケットスタート)」PRと「足の長い」PRに一役買うことができる。

図2 単発の露出の例

①新商品の発売

⬇︎

②プレスリリースなどの広報施策

「プレパブ」を実施してメディア露出を獲得する。ターゲット媒体の「プレパブ枠」にアプローチすることで、低予算で数多くのメディアに商品名を露出しリード(リーチ)の最大化を狙う

⬇︎

③メディア露出露出の山は1回。

この山をとにかく大きくしたい。但し、個々の露出は既存枠であるため、「特集記事」のような大きな枠とは当然ならない。あくまで「リード獲得」を最大化するための手法となる

⬇︎

④露出が終わる

露出は繰り返さないでいい

図3 足の長い露出例

①新商品名の募集
(募集のためのPR活動)を開始

プレデマンドの醸成(ティザー効果)

1つ目の山

⬇︎

②商品名発表(商品発売日等)

メディア露出の最大化

2つ目の山

⬇︎

③ポスター・広告等での掲出開始(販売開始日)

商品名・商品イメージを訴求

3つ目の山

⬇︎

④受賞者(応募者)への贈賞式、インタビュー

オウンドメディア(自社媒体)等で新商品名決定までの背景や、商品名のコンセプトなどをネット拡散。必要に応じで販売開始後の「中押し」となるPR企画等(事後パブリシティー)を行う

4つ目の山

プレパブのプロセス

プレパブ枠での露出にあたっては、プレゼントとなる商材・販促グッズ等に相応しい写真や説明書きなどプレスキット(プレパブ資料)を用意し、メディアの編集部と調整を行う。この時、メディア属性(経済誌、ファッション誌等、あるいは日刊紙、週刊誌、月刊誌等)や、読者(視聴)層を考慮した上で、読者から好まれるような賞品での展開を心がけることは基本となる( ファッション誌のプレパブ枠での掲載を希望するのであれば読者が好むファッション関連のグッズ等)。

また、プレパブで大きな「山」を設けたい時には、単独のメディアのみに掲載する排他的(クローズド)な「プレパブ」ではなく、なるべく多くのメディアへの協力依頼(オープン)が必須になる。掲載媒体では「募集告知+当選発表」と2度の露出が可能な場合も多く、募集告知と当選者発表の2回の掲載を、なるべく希望する号(「山」を作りたい発売日)に集中させる必要がある。

図4 単発での露出を狙った「プレパブ」のプロセス

①プレパブに関する資料(プレスキット)を用意する。プレスキットには、賞品の説明、写真の他、応募要項、応募の締切日、当選者の発表日、賞品の発送方法など詳細を明記する。

②プレパブ資料をメディアに手渡す(メディアキャラバンの実施)。締切、抽選方法、応募先、発表(発送)方法を確認した上で「プレパブ枠」での掲載を確保する。

③「厳選な抽選(審査)」をメディア側または企業側が実施する。

④当選者/受賞者の発表を掲載(必要に応じて)

ひとつの「山」を築くための「プレパブ」が比較的シンプルな企画構成であるのに比べて、「足の長い」懸賞PRなどの場合は企画書の構成はさらに複雑になる。この時、「プレゼント」「懸賞」といったインタラクティブ(読者と相互のやりとり)な要素をコミュニケーション上の「フック」として、いかに立体的なコミュニケーション展開を構築するかが重要となる。「足が長い」PR活動を立案するためには「(大きな)ストーリーづくり」を行うことが欠かせない。

また、フリーパブリシティーのみに頼るのではなく、広告予算の準備やオウンドメディア(SNS)との相乗効果を狙うなどプレパブ/懸賞自体を立体的に展開しメディア露出を行うための運営体制も必要だ。マーケティング思考で「PESO」を意識するなど露出獲得には柔軟に対応したい。

図5 足の長い露出を狙った「懸賞パブリシティー」の企画プロセス

①全体としていくつの「山」をつくるのかなど構成を決定

②それぞれの「山」に対して、どういったメディア露出の展開が可能かを精査

③1つ目の「山」に向けた(前出の図3の事例では新商品名の募集)のPR活動を開始

④2つ目の「山」に向けた露出枠の確保(事例では商品名の発表会)のための機会作り

⑤販売開始時に展開する販促物、広告、パブリシティーなどを準備

⑥受賞者(応募者)への贈賞式、インタビューなど「販売開始後」に展開できるサイドネタ(裏側)レポートなどのオウンドメディアや、CGM(口コミメディア)での展開を実施

視点3
どんなプレゼント、懸賞を企画するか?

誰もが欲しがるものを選出

広報活動の「山」が決まったら、次に具体的な「プレゼント」「懸賞」の内容について考えたい。

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