企業成長の原動力として注目が集まるのが組織の「多様性」。しかし多様な従業員が集まるからこそ、生まれる課題もあります。
連合(日本労働組合総連合会)の新会長に産業別労働組合JAMの芳野友子氏が就任したというニュースに世間が驚きました。
女性の会長は連合史上初であり、労働組合は男性色の強い組織だからです。連合は「多様性を尊重する組織。今後変革をもたらしてくれる」というイメージ戦略にも成功しました。
芳野氏は政府の政策委員も兼ねており、これからは女性や非正規雇用に関する法整備が大きく進むことが予想されます。
男性たちの顔色をうかがうことなく、労働者の権利と公平性を力強く追求してきた芳野氏は、今後も忖度なしの改革を行っていくと思われます。各企業も就労環境の整備を早めに行うことが求められるでしょう。
20年、30年の継続が結果に
実は私は20年ほど前に、芳野さんと一緒にJAMの役員(中央執行委員)を務めていました。役員の多くは、企業労組の委員長から選出されますが、委員長はほぼ全員男性なので、JAMの役員も全て男性になってしまいます。そのため女性枠を設け、芳野さんや私が選出されていました。
「女性枠は能力主義に基づかない」と言う人もいますが、その枠をきっかけに能力のある女性は育っていくということが、芳野さんの就任で証明されたように思います。それは一朝一夕ではなく20年30年という取組みの継続によって結果が出ます。20年前にはワークライフバランスやイクメンなどという言葉は一般的ではありませんでしたが、時間をかけて...