社会における、より良い自社の在り方を考えるにあたり、スポーツ・スポンサーシップを、今どのように活用できるのか。今回はスポーツイベントとスポンサーの類似性に迫ります。
これまでの連載はスポンサーシップの実践的な取組みに焦点を当ててきましたが、今回は学術的な視点からスポーツイベントにおけるスポンサーシップの動向を紹介します。スポーツマネジメントの領域では、スポンサーフィット(別名:フィット)研究が数多く行われています。スポンサーフィットとは「記憶内の知識と予測に基づく、イベントとスポンサーとの間の知覚された類似性」と定義されており*1、一般的に機能的な類似性(Functional similarity)とイメージの類似性(Image similarity)に大別されます*2。
五輪とスポンサーのフィット
機能的な類似性は、スポンサーの製品やサービスがイベント中に使用された際に、フィットは発生するとされています。例えば、新型コロナウイルス感染症の影響により東京五輪開催中アサヒビールは会場内での酒類販売を見送りましたが、五輪エンブレムをあしらった「スーパードライ」を発売。7月下旬の缶販売数は、家飲み需要の拡大が追い風となり前年比の3割増という成果を挙げました。この売上増加は、機能的な類似性に基づくスポンサーフィットがもたらした恩恵とも言えます。
一方...
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