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広報のための行動インサイト

勘違いで逆回答──回答形式は正しく設計されているか

山田 歩(滋賀県立大学)

コミュニケーションに欠かせないアンケート。申請書。より良い質問の作法とは。行動科学のインサイトを使って広報実務を点検します。

10万円の給付金を誤って辞退。昨年の特別定額給付金の手続きで、希望者が意図せず受給を断ってしまうケースが少なからず起こりました*1。申請書の見本には「受け取りを希望しない」場合にチェックをつける欄がありました。受け取らないならそもそも申請しません。「希望する」ためのチェック欄だと勘違いさせてしまったのでしょう。「受け取る人が申請する」という行為の文脈と「受け取らない人がチェックする」という要求のズレが「誤辞退」を招いたと考えられます。

*1 “新型コロナ 10万円給付金、勘違い辞退も” 毎日新聞2020年5月29日付

ゴアはなぜ負けたのか

ジョージ・W・ブッシュとアル・ゴアが競り合った2000年の米国大統領選でも勘違いによる「誤投票」が起こりました。舞台はフロリダ州パームビーチ郡。パームビーチ郡では「バタフライ・バロット」という投票用紙が使用されました。パンチ式の投票用紙で、投票したい候補者の横にあるパンチ穴を抜き落とすことで投票します。左ページには6名、右には4名の候補者。ページの中央にパンチ穴が縦一列で並んでいます。見開きにすることで、片側1ページに10名を並べたときよりも、文字を大きくしたかったそうです。

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