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文字だけではなく「漫画」で自社のリアルを発信

ここまで文章を中心とした事例を紹介してきたが、本稿ではイラストや漫画で自社の“らしさ”や意外性を伝えている企業事例を紹介する。両社に共通するのは「日常」の一コマを題材にしている点。伝えたい内容によっては文章ではなくイラストや漫画を活用するのも有用だろう。

事例❶ ZOZO

決算資料にも“ソウゾウのナナメウエ”を!「ZOZOらしさ」体現したイラスト&漫画

ZOZOでは2019年以降、決算説明会資料に斬新なデザインを用いることで「ZOZOらしさ」を鮮明に打ち出してきた。なぜ、決算資料にも遊び心を?制作背景から、施策の起点となった同社のアイデンティティについても話を聞いた。

2020年は見た目がZOZOにも見える、とのことから「ZOZOYEAR」とし、社員を写実的に模写したイラストを資料に盛り込んだ。

ZOZOでは13年程前から、決算説明会の資料づくりに社内デザイナーを起用。同社では、社内外のあらゆるデザインに社内デザイナーが関わっている。それは同社の想いやカルチャーを表現するためだという。

中でも、前澤友作氏が代表を辞した2019年は重要な節目だった。そう話すのはZOZOテクノロジーズ コーポレートデザイン本部 コーポレートデザイン部の森住和雅氏だ。「丁度原点回帰を打ち出したタイミングで、代表が澤田に変わり、そこで澤田が次のコンセプトにしたのが“社員が主役”。ファッション好きの社員全員が主役ということで、社員のイラストを使ったデザインにしました」。

2020年の資料には社員のリアルなイラストを。そして、2021年7月29日公開の最新の決算資料の冒頭に登場したのが、森住氏お手製の漫画だ。これは、同社の新代表・澤田宏太郎氏を彷彿とさせるキャラクター「栗太郎」が登場する、ZOZOでの日常を描いたストーリーだ。

栗太郎が主人公の漫画。途中、プロの漫画家に描いてもらう案も出たというが、そこは「DIY精神」を標榜する同社の“らしさ”を出すには、内製の方が雰囲気が出るはず、と考えたという(2022年3月期第一四半期決算説明会資料)。

社員がモデル、日常を描く漫画

資料の合間にサラッと挿入されたようにも見える、4篇の漫画。だが、その制作には実に多くの時間が割かれている。「会社として打ち出したい内容は毎年変わるもの。ですから、決算説明会の資料のデザインも毎年一から考えています」。プロセスとして、まずはメンバー内でのブレストの後、ラフ案を数種類制作し、細かく議論を重ねていく。

「5月中旬から週1回の頻度でブレストを行い、6月の中旬に、今回は漫画を盛り込む、という案が出てきました」。漫画を挿入する、となれば内容の議論に。コマ割りの数やストーリー、絵のタッチ含め、10以上の案が出された末に本作に決定した。「7月頭から公開までの丸1カ月は、“本気で”漫画の制作に打ち込みました」。

公開後にはSNS上などで「想像のナナメウエを行っている」など、決算資料を見た方から反響があったという。

このマンガは、社内の日常をネタにしているのが特徴だ。「キャラクターにはそれぞれモデルがいて、社内の人が見たら『あの人じゃないか?』と。フランクな日常を描きたかったので、なるべく上下関係のない素の感じが出るよう工夫しました」。

内容に関し、産みの苦しみはなかったのか。「ストーリーに関しては、実際の出来事や実在する人物が元ネタのため、苦労はありませんでした。こういう展開ならおそらくこう喋るはず、と自然と想像が膨らみました」。

ソウゾウのナナメウエ

決算資料に漫画を取り入れる、その大胆さ。その...

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