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企業価値を高める 文章作成

企業ブランドを守る最後の要は広報力 リリース執筆に必要な7つのポイント

浅見隆行

企業が不祥事などの危機に直面した時、公式サイトに謝罪文を掲載するなど何らかの形で広報することは一般化してきた。そこで、本稿ではこれまで実際に謝罪文を書いたことがない、という人でも分かるよう、最重要な7つの要点を紹介する。

POINT1 広報する目的の設定

何に対する謝罪か明確にしておこう

まずは広報する目的を設定することです。その広報によって何をメッセージとして伝えたいのかテーマを設定すること、あるいは自社が求められているものは何かを明確にすることと言い換えてもいいかもしれません。

2021年前半にも相次いだバイトテロのケースを例に説明しましょう。レストランでアルバイトの学生がバックヤードで食品を不衛生に取り扱い、その様子を動画に撮りSNSにアップしたところ拡散・炎上したというものです。

飲食店・レストランを営む企業が広報によって伝えるべきメッセージは、衛生管理を徹底しているので食の安心・安全は維持されている、今後も安心・安全であるから来店してほしいというものでしょう。だとすれば、広報の内容は衛生面での安心・安全に的を絞ることになります。おのずと、謝罪の言葉は「食の衛生面に不安を招き申し訳ない」となり、原因や再発防止策は店舗の衛生管理の状況を説明すれば足りることになります。

失敗例が北海道日本ハムファイターズの謝罪文です。2021年4月に試合前の円陣の様子をSNSに公開したところ、「日サロ行き過ぎやろ、お前」と同球団に所属する万波中正選手の肌の色を茶化す声が収録されていたため、人種差別的発言であると批判が集まりました。

これを受けて、8月31日に、川村浩二球団社長名義で「本年4月11日に公開した試合前の選手円陣動画において、差別的発言が収録されていたことを心よりお詫び申し上げます。差別的発言は、どのような状況、どのような間柄であっても、決して許されるものではありません。円陣内の個別発言について確認が至らないまま球団公式ツイッターでそのシーンを公開したことは、当球団の管理体制が不十分でした」との謝罪文を公表しました。

しかし、この表現では、確認不十分のまま公開した体制のあり方を問題にしているかのように読めてしまい、人種差別を許さない球団であるという姿勢やメッセージを伝えることはできませんでした。その結果、謝罪文に対しても批判が集まる事態となりました。

POINT2 ポジションを理解する

「真の被害者は消費者」その認識の徹底を

自社が置かれた立ち位置(ポジション)を理解することです。

よく見られる失敗例のひとつが、メーカーの委託先が製造した部品などが原因となってエンドユーザーが負傷する製品事故が起きたときに、メーカーが被害者意識をもって「委託先が悪い」という趣旨の広報を出してしまうケースです。これは、メーカーが、真の被害者はエンドユーザーで、メーカーは委託先とともに加害者であることを十分に理解できていないことから起きる失敗です。

2020年12月にGACKTとROLANDによるブランド「G&R」での商品が模倣品であると指摘されたケースでは、GACKTが商品のデザイナーと運営会社のdazzyに責任を転嫁するように見られる動画を公開し、dazzyもGACKTとROLANDに対する謝罪文を公式サイトに掲載しました。これは、真の被害者が「G&R」の商品を購入する一般消費者であり、GACKTやdazzyは加害者側であるという立ち位置(ポジション)を理解できていないままなされた広報の失敗例と言ってよいでしょう。

POINT3 見出しも大事なメッセージ

端的な見出しで消費者の混乱を未然に防ぐ

見出しだけで結論が分かるようにすることです。

企業が公式サイトやリリースで発信した情報はSNSで拡散されていきます。その際には情報が掲載されているURLのリンクも送られますが、実際にはリンク先までは確認されずにサムネイルと一緒に表示される見出しの文字だけが拡散していきます。そのため、企業は、サムネイルと一緒に表示される文字だけで情報が誤解なく伝わる見出しを考える工夫が必要です。

2020年2月に全国でマスク不足が発生したときに、アスクルが「マスクや消毒剤などの感染予防商品は欠品中です。今後の入荷見込みも現在たっておりません。」と、それだけで結論が分かる見出しをつけて情報発信したケースは最も優れた例と言えます(事例)

事例
筆者は、アスクルがコロナでマスク不足が深刻化する中、マスクの供給が難しいことを見出しで端的に説明している点を評価している。生活者が余計に混乱しないよう、工夫が見て取れる。

関西電力の役員らが社外の関係者から金品等を受領していた問題で、2020年3月に関西電力が森本孝社長名義の謝罪文を公表しました。これも、「ステークホルダーのみなさまに対する宣誓」と、文書の内容が推測できるタイトルが...

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