テレビ東京出身で経済番組のディレクターを務めていた筆者が、実際に人気番組の制作者にインタビューしメディア対応の極意を聞き出します。
『サラメシ』 |
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NHK総合で放送されるノンフィクションバラエティ番組。タイトルは「サラリーマンの昼飯」の略で、働く人の昼食にスポットを当てる。ナレーションは中井貴一が務める。

プロデューサー 松葉直彦(まつば・なおひこ)氏
テレビマンユニオンプロデューサー。1967年東京生まれ。1990年テレビマンユニオンに。『NONFIX』(CX)、『知ってドーするの!?』(TX)、『ターニングポイント』(ABC)、『情熱大陸』(MBS)、『NHKスペシャル・地球大進化シリーズ』など、主に情報バラエティやドキュメンタリーで企画や演出やプロデュース。
「ランチをのぞけば、人生が見えてくる」。そんな番組コンセプトを守り続け、2011年5月の開始以来、2021年でちょうど10年目の節目を迎えた、『サラメシ』。
レギュラー化してから現在に至るまで、番組を育て上げてきた、テレビマンユニオンの松葉直彦氏に話を伺った。
「昼食」が秘めた可能性
働く人の昼食に焦点を当てる。一見、変わり映えしなさそうなテーマに思えるが、実はその思いは制作陣も同様、ここまでの長寿番組になるとは、当初は誰も想像していなかったという。
「当初は10本だけの限定ということで始まりました。昼食という一辺倒のテーマなので、周囲も続かないだろうと見ていました。だから、それを逆手に取って、開始当初から冒険できましたね。似たような番組が民放にもどこにもなかった。手探りながらつくり手として遊びようがあると感じていました」。
それから10年。枠に収まらない挑戦で、通常の職場訪問に加えて、写真家・阿部了氏による「お弁当ハンター」、ディレクターが取材相手と1対1で昼食をとる「さし飯」、社長のランチを追いかける「社長メシ」など、いくつものユニークな企画が生まれた。
「結果、昼食は取材する上では、最強のツールでした。“昼食”というテーマだからこそ、刑務所の内部に入ったり、裁判所やアメリカ大使館に入ることもできました。これが単なる職場潜入や仕事紹介の取材であれば入れなかったと思います。番組をつくっていくなかで気がついた、当番組の強みでもあります」。

働く人のストーリーの面白さ
大企業から中小企業、アメリカ大使館や刑務所、さらには南極まで。広報としては、どのように取材先を選んでいるかも気になるところだ。
「番組HPに寄せられる...