様々な領域で事業を展開しているにもかかわらず、印刷業のイメージが根強い。そんな課題を持つ凸版印刷が挑んだリブランディングプロジェクト。BtoBにも関わらず、テレビCMを中心に大々的に企業広告を実施。その裏側を聞いた。
2021年4月から俳優の大泉洋と成田凌を起用したテレビCMを放映している凸版印刷。リブランディング活動について同社広報本部 宣伝部長の佐藤圭一氏が紹介した。
1900年に創業した同社は、印刷テクノロジーを核に事業拡大と多角化の歴史を歩んできた。凸版印刷という社名からは紙に印刷している会社のイメージが強いかもしれないが、実際は「健康・ライフサイエンス」「教育・文化交流」「都市空間・モビリティ」「エネルギー・食料資源」の4つの領域に重点的に取り組み、社会的価値創造企業を目指している。
また、2021年5月に発表した中期経営計画では“Digital & Sustainable Transformation(DX&SX)”をキーコンセプトにDXやSXに関する事業にも注力していくことを打ち出している。
広報・宣伝で企業変革を牽引
一方で、日経企業イメージ調査(2020)によると、社名認知度は高いものの事業内容まで「よく知っている」と答えた人はビジネスパーソンで3割、一般個人で2割ほど。ステークホルダーへのグループインタビューでも、知名度はある半面、「印刷業」というイメージが圧倒的に強いことが分かった。
このような状況を打開するべく、今年度から始動したリブランディングプロジェクト。その目的は「TOPPANブランドの再構築によって企業変革を牽引すること」だ。“変革”とは、「『受注型企業』から『創注型企業』へ」「『ドメスティック企業』から『グローバル企業』へ」「『総合印刷会社』から『社会的価値創造企業』へ」の3つを指す。
「広報・宣伝部門として実施すべきことは、『変わるTOPPAN、変われるTOPPAN』を明確に示し、コミュニケーションによって社会やお客さま、株主、従業員の意識を変えていくこと。それがブランド再構築につながるのではないかと考えました」。
BtoBで企業広告、その目的は
企業変革をしていくには、まず従業員に自分たちのあるべき姿や経営戦略を理解・共有させるインターナルコミュニケーションと、顧客や取引先など社会に対して表明・発信するエクスターナルコミュニケーションが重要だ。佐藤氏は、インターナルコミュニケーションは「比較的しっかりやってきた」と話す一方、エクスターナルコミュニケーションのなかでも、特に広告宣伝活動は不足していた。
「広く社会全般に向けた広告宣伝活動は最もコストがかかるため、なかなか...