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従業員エンゲージメント 向上プロジェクト

コロナ禍での従業員の意欲を可視化 具体的な打ち手につなげるには?

リモートワークが常態化する中、改めて注目が集まる従業員エンゲージメント。その向上のため、広報部門はどのようなコミュニケーション施策を実施できるでしょうか。「従業員エンゲージメント向上プロジェクト」第3回では、7社の広報担当者と専門家が集まり意見交換を行いました。

部門間コミュニケーション量の低下を防ぐ施策や、意欲を高める経営メッセージの浸透方法について、各社が事例を持ち寄り、話し合った。

    従業員エンゲージメント

    自分が所属する組織と、自分の仕事に、熱意を持って自発的に貢献しようとする従業員の意欲のこと。

    ▶会社の業績との相関が高い

    ▶組織と個人の間の関係性を規定するもの。会社が向かいたい方向に従業員が共感すると、自発的に貢献しようという意欲を引き出せる

従業員エンゲージメント向上プロジェクト第3回は、カルビー、スープストックトーキョー、スクウェア・エニックス、セコム、ハピネット、ファクトリージャパングループ、ユナイテッド(五十音順)の広報関連部門の担当者が集まり議論。またボードメンバーとして、メッセージの共感度を可視化する「共感モニタリング」サービスを提供する日立製作所と、ブランディング支援を行うクリエイティブエージェンシーのCINRAが参加しました。

行動変容は「意識の把握」から

「匿名で従業員エンゲージメント調査を行っているものの、会社全体の平均点が分かったところで、その数値が良いのか、悪いのか判断できず、その後どんな対策をしたらいいのか分かりづらい⋯⋯」。そんな声を受け、日立製作所では新たな手法を開発・導入していると言います。その調査は記名式サーベイで、個々の従業員が生き生きと働けているか、所属する組織からバックアップされていると感じているか、をデータで可視化するというもの。

「個人」と「組織」の具体的な課題を洗い出していくアプローチについて、働き方改革ソリューション本部の吉田章宏氏に解説してもらいました。

調査は大きく2つあり、1つ目は配置配属に対するフィット感についての調査。例えば、希望していることができているか(特性希望適合度)、職場メンバーが互いに思いやれる環境にあるか(相互尊重性)などを質問していきます(図1)。2つ目は、生産性に対する意識についての調査。例えば、自身の役割を理解しているか(役割理解度)、自身の成長を支援してもらえていると感じるか(成長支援性)といった内容です(図2)

図1 配置配属に対するフィット感の調査

図2 生産性に対する意識についての調査

出所/日立製作所「日立人財データ分析ソリューション」

「職場へのフィット感と生産性意識は、従業員エンゲージメントと業績向上に影響を及ぼすことが分かっています。従業員の行動を変えていくには、まず個々の従業員の意識がどんな状態にあるかを把握することから始める必要があります」と吉田氏は指摘します。同社での調査回答率は約9割。組織活性化を目的とし、処遇への反映は一切行わないこと、回答結果を個人にフィードバックすることを最初に伝え、回答率を高めています。

日立製作所で調査後に個人にフィードバックされるレポート。生産性の状況について、5段階評価の点数と全体の平均点との対比を図示し、ひとり一人の強み、弱みについて強化、改善するアドバイスをしている。

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