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リスク広報最前線

広告を出すことでマイナスな印象に 世の時流、そしてCSRの観点から判断を

浅見隆行

複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。

問題の経緯

2021年7月19日

オリンピックのメイン会場となっている国立競技場(写真は2019年撮影)。

©123RF


オリンピックの最高位のスポンサーであるトヨタ自動車は7月19日、東京オリンピック関連のテレビCMを国内では放送しない方針を明らかにした。CM内容は、オリンピックに対する同社の考え方などを伝えるもので、すでに放送が始まっている海外では引き続き放送を続ける、とした。同日夜には開会式の楽曲制作を担当するミュージシャンが辞任を発表するなど、オリンピック開催への賛否が分かれる事態となっていた。

トヨタ自動車は7月19日、東京オリンピック・パラリンピックに関するテレビCMを国内では放送せず、また豊田章男社長ら会社関係者が開会式に出席しないことを明らかにしました。トヨタ自動車は「ワールドワイドパートナー」と呼ばれる世界に15社しかいない最高位のスポンサーであることから、翌20日、メディアに大きく報じられました。

同じく「ワールドワイドパートナー」であるパナソニックの楠見雄規社長も開会式には出席しないことを表明し、他のスポンサー企業にも影響を与えています。今回は、こうした各社の対応を題材に世の中の意見や社会情勢を踏まえた企業の広告姿勢を検討します。

露出がかえってマイナスな印象に

トヨタ自動車が今回の判断に至った理由について「いろいろなことが理解されていないオリンピックになりつつある」「スポンサーになった時から(商品宣伝など)プロモーションのメリットはほぼ考えていなかった」と説明したと報じられています。

今回の東京オリンピック・パラリンピックは、2020年開催予定だったものが新型コロナ禍により1年延期され、延期してもなお鎮静化していない状況下で行われることから、開催の是非を巡る意見が激しく対立していました。オリンピック開幕後も東京、神奈川など開催地を対象とした緊急事態宣言の期間が延長されたため、開催を否定する声は依然として止まりません。

このような状況でオリンピック・パラリンピックのテレビCMを断行した場合、世の中の批判がスポンサー企業に向くことは容易に想像できることです。現に、日本国内の聖火リレーを「ワールドワイドパートナー」であるコカ・コーラの大型宣伝カーが先導していたことに対する批判や、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会が会場で観客への酒類の販売を認める方向で調整していると報じられた際には、「ゴールドパートナー」であるアサヒビールに対する批判が寄せられていました。

スポンサーになる目的は大会を通じて自社の宣伝することで知名度を浸透させ売上の向上につなげることです。ところが、テレビCMを流し、かつ開会式に社長が出席することで自社に対するマイナスイメージが...

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