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広報のための行動インサイト

侮るなかれ「検索結果」が引き起こす思い込み

山田 歩(滋賀県立大学)

不祥事。誤報。そのときに必要なコミュニケーションとは。行動科学のインサイトを使って広報実務を点検します。

すごもりGWで「女性は大掃除。男性は映画鑑賞」と呼び掛けるチラシ。五輪組織委の森会長(当時)の女性蔑視発言。差別的なコミュニケーションによる炎上事案は枚挙にいとまがありません。わざわざ炎上させたわけではないとすると、なぜこうも差別的な言動は繰り返されるのでしょうか。ジェンダーを切り口に、固定観念が社会的に蓄積・増幅されるプロセスを点検します。

「母親 無職」に続くのは?

ネット上には男女の古めかしい役割分担を連想させる言葉があふれます。Google検索で「母親 無職」と入力してみましょう。オートコンプリート機能で「親権 母親 無職」といった育児・養育に関連したワードが並びます。それに対し「父親 無職」と入力すると「父親 無職 恥ずかしい」といった無職の父親を否定的に捉えるワードが出てきます*1。「無職」が検索されたり語られたりするとき、「母親」は家庭や家族を守る存在として、「父親」は仕事を担う存在として捉えられているわけです。

*1 Googleのオートコンプリートと呼ばれる機能で、入力ワードと関連が強いワードや、他のユーザーがそのワードと一緒に検索しているワードが「予測ワード」として表示されます。文中例は、山田歩『選択と誘導の認知科学』(新曜社:2019年)より。

「イラスト素材」も興味深い対象です。イラスト素材は多くの場合「分かりやすさ」が求められるのでステレオタイプ的な表現が好まれます。例えば「医師 イラスト」とGoogle検索してヒットするイラストの多くは男性で、「保育士 イラスト」で...

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