複雑化する企業の諸問題に、広報はどう立ち向かうべきか。リスクマネジメントを専門とする弁護士・浅見隆行氏が最新のケーススタディを取り上げて解説する。
問題の経緯
2021年4月14日
バイトテロといえど、根っこにあるのはその他の企業不祥事と変わらない、と著者。
©123RF
大心産業(大分県別府市)の「韓国苑 別府店」のアルバイト従業員4人が店舗内の厨房で、廃棄予定の食べ物を口に入れて吐き出す様子などを映した動画がSNS上に投稿された。動画には、食べかけのパスタなどを手づかみで口の中に放り込む様子や、ソフトクリームをつくる機械の注ぎ口から直接クリームを口に流し込む様子が映り込んでいた。同社は、翌15日、当該従業員4人の懲戒解雇を発表している。
2021年に入り、SNSを使った、いわゆる「バイトテロ」が再び増加し始めています。
4月14日には大分県の焼肉屋・韓国苑(大心産業)でアルバイト4名が調理場でソフトクリームを直接口に注ぐ動画をTikTokに投稿して拡散・炎上。翌15日、同店舗は4名を懲戒解雇すると同時に公式サイトに謝罪文を掲載しました。6月にはドミノピザやカレーハウスCoCo壱番屋でも、Instagramに不適切な動画が投稿され、拡散・炎上、謝罪するケースが発生しました。他方、6月9日には、蒙古タンメン中本が、女性タレントのブログ投稿によって炎上させられかけた際、謝罪文と事実の経緯を説明して炎上を回避するケースも発生しています。
そこで、今回はこうしたバイトテロや炎上に発展しそうなボヤ騒動が起きたときの危機管理広報のポイントについて解説します。
バイトテロ炎上の根本にあるもの
バイトの人間がSNSに投稿した写真や動画が拡散して炎上する理由は、「世の中の人たちがその企業に求めているもの」に反しているからです。例えば、食品を取り扱う会社であれば衛生面での安心や食の安全です。韓国苑、ドミノピザ、CoCo壱番屋のいずれも投稿内容は不衛生な行為で「その企業に求められているもの」に反しています。
これは2021年のバイトテロだけではなく、古くは「バカッター」と揶揄された2013年当時の炎上事例(代表的なものは、コンビニエンスストアのアイスケースの中に寝転んだ写真をTwitterに投稿したケース)、2019年にInstagramのストーリーに食材を不適切に取り扱う動画を投稿して炎上したくら寿司の事例でも同じです。
「その企業に求めているもの」に反すると炎上するという意味では、企業が製造販売する商品の安全性や安心が問題になる不祥事が発生し、消費者が離れていく事例と根っこは変わりません。となると、危機管理広報として対外的に発信すべき情報の内容もバイトテロだからといって特別なものになるわけではないことが理解できるかと思います。「我が社に求められているものに反した」ことへの謝罪と原因の究明、「我が社が求められているもの」への信頼を...
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