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『一体感』が崩れる、その前に!インターナル広報

お悩み相談 社員の心をつかむ社内報作成の極意とは

足立区シティプロモーション課

東京23区で初めてシティプロモーション課を立ち上げた足立区。その取り組みのひとつが広報物の改革。今や他部署からその“魅せ方”について、年間400件以上の相談を受けるという。そんな同課に、読者からの質問に答えてもらった。

Q1 社内報をなかなか読んでもらえません⋯。雑誌のように、思わず手に取りたくなるようにするにはどうすれば良いでしょうか?

雑誌が、思わず手に取りたくなり、読みたくなるのはなぜだと思われますか?美しいモデル、きれいな写真、素敵なデザイン⋯⋯もちろんそれは、雑誌によっては必要なものではありますが、その前に雑誌は以下を明確に意識してつくられています。それは、❶誰に届けたいのか ❷何を届けたいのか ❸どういう行動を起こしてほしいのか、です。

ターゲットをイメージして

首都圏で働いている20~30代の女性をターゲットとし、まちの情報を中心に届ける雑誌と、丁寧な暮らしをしたい40~50代女性に、料理や家事の情報を届けようとする雑誌では、内容やモデルはもちろん、誌面のつくり方も異なってきます。

どのような広報物も情報誌も、これらを明確にしないまま作成すると、焦点がぼやけ、誰にも届かないものになってしまいます。社内報も同じです。私たちは自治体の広報室として、年間400件以上の広報物の作成に携わっていますが、まずこの3点を確認してから制作にあたります。例えば下の例をご覧ください。


中小企業の皆さんにぜひ知っていただきたい、利子面でお得な、足立区独自の融資のご案内パンフレットの表紙です。足立区は創業支援にかなり力を入れており、中小企業支援でも様々な制度があります。

しかしBeforeは、何となく区内の名所写真で誌面を埋めてしまっており、届けたい相手も、お得なポイントも、表紙から伝わってきません。

そこでつくり替えたAfterの方では、商店主や営業に出かける姿など、特にこの融資制度を使ってもらいたいターゲットに近い人物のイメージ写真をメインで配置。特にお得なポイントについては、上部に大きな文字で書き込んで、手に取って中を開いてみたくなるよう工夫しました。まずは、❶~❸を明確にすることで、誌面は大きく変わってきます。

社内の特に誰に届ける?

社内報というと「ターゲットは全社員です」と考える方もいるかもしれません。私たち自治体も同様で、「このイベントのターゲットは誰ですか?」と担当者に聞くと「全区民です」と言う人が少なくありません。しかし、届ける相手や目的がぼんやりとしたままでは、見てもらえないまま、ただ捨てられるフリーペーパーになることも。

広くは全社員かもしれませんが、例えば、❶誰に届けたいのか:特に、入社数年目で会社の全容をつかみ、次の一歩を模索している世代に ❷何を届けたいのか:トップの熱い思いを知識でなく感覚レベルで感じ取ってもらい ❸どういう行動を起こしてほしいのか:日頃の仕事をこなすことに加え、新しいチャレンジをしてもらうこと、というような目標を設定してみることはできるはずです。

もしも、それが明確になっていない場合は、社内報をつくり続けるルーティーンを一度止めて、❶~❸を明確にすることをお勧めします。いったんターゲットと狙いを絞ることで、最も届けたい相手はもちろん、それ以外の、関心の近い人にも手に取ってもらえるものとなります。

また、目的を明確にした上で、ページ(特集)ごとにも❶~❸を考え、誌面をつくるのも、効果的な場合があります。

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