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ネットで組織が助けを求める時、ポイントは?

鶴野充茂(ビーンスター 代表取締役)

ブログや掲示板、ソーシャルメディアを起点とする炎上やトラブルへの対応について事例から学びます。

イラスト/たむらかずみ

ネットで組織が助けを求める時
沖縄・ひめゆり平和祈念資料館が6月初旬、入館者の激減で「経営上の危機」とTwitterに投稿したところ、3日で2000万円を超える寄付が集まったという。

コロナの影響で2020年度の利用者が86%減少し、修学旅行は2019年の10%にも満たなかったという沖縄・ひめゆり平和祈念資料館は6月6日、Twitterでその窮状を訴えた。「感染症による影響の長期化で、当館は経営上の危機に直面しています」「民間で、入館料収入によって運営してきた当館にとって大変苦しい状況となりました。どうかご無理のない範囲でご寄付いただけますと幸いです」と呼びかけたところ、3日で2000万円を超える寄付が集まったという。

投稿には、「少額ですが寄付しました」「なんとしても存続していただきたい」「是非後世に残してほしい」など支援の声が連なり、フォロワー数3000人に満たないアカウントからのツイートが、6月10日現在で1.5万件を超えるリツイートや1.3万件を超えるいいねが集まって拡散し続けている。

自助努力ではどうにもならない時、ネット上で助けを求めるという選択肢を知っておいて損はない。これはその具体的な方法を考える良い例だ。

切実な緊急事態を訴える

資金が足りない。人を探している。SNS上には様々な呼びかけや協力を求める声が見られる。しかし、うまくいくかどうかは別の話。「拡散希望」とツイートしても、拡散されるわけでもない。ただ、成功例を多く見ていくと、いくつかの共通点は見出すことができる。

5月、オークションサイト「ヤフオク!」に270万円で出品されていた希少車を見つけた滋賀の男性は、商品紹介画像の中に飼い猫の写真があるのに気づいた。説明欄を読むと、愛猫の治療費捻出のため、やむなく愛車を手放すという。「無事オーナーさん見つかって治療できますように」とツイートしたところ、情報が拡散、結果的に買い手が見つかった。

経緯をまとめた記事によると、その男性は、自らも車好きで複数の猫を飼う猫好き。愛車を手放す心の痛みと愛車と引き替えにしてでも救いたいという飼い猫への思いに衝撃を受けてツイートしたと語っていた。これは組織ではなく個人の例だが、「ひめゆり」と同様に、状況の切実さ、緊急事態であることが伝わるかどうかが、まず不可欠な要素と考えられそうだ。

どうしてほしいかを明確に

最終的にどうしてほしいのかも重要な情報だ。「ひめゆり」は寄付を呼びかけた。新商品ならクラウドファンディングがあり、声を集めるならオンライン署名サイトだろう。

専用のページを作成し、支援の導線をつくっておく。その上で、拡散してもらうだけでも助かる、という形ができれば、呼びかけの広がりが具体的な支援へとつながりやすい。

「ひめゆり」は、館長名で新聞に寄稿するなどツイート以外の場でもメッセージを発信している。もちろん呼びかけ方も重要だが、同時に、日頃から活動に対する理解が得られているか関係構築ができているかもまた、差が生まれるポイントになるだろう。

社会情報大学院大学 特任教授 ビーンスター 代表取締役
鶴野充茂(つるの・みつしげ)

社会情報大学院大学特任教授。米コロンビア大学院(国際広報)卒。国連機関、ソニーなどでの広報経験を経て独立、ビーンスターを設立。中小企業から国会までを舞台に幅広くコミュニケーションのプロジェクトに取り組む。著書はシリーズ60万部のベストセラー『頭のいい説明「すぐできる」コツ』(三笠書房)など多数。個人の公式サイトはhttp://tsuruno.net/

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